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韓国国会事務処、尹大統領夫妻の「風刺」展覧会を「誹謗」だとして作品すべて撤去

登録:2023-01-10 06:24 修正:2023-01-10 08:15
ソウル汝矣島の国会議員会館で9日から開かれる予定だった「2023グッドバイ展イン・ソウル」で展示予定だった作品=グッドバイ展示組織委員会提供//ハンギョレ新聞社

 韓国の国会事務処が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫妻を風刺した美術作品展覧会を無断撤去し、物議を醸している。事務処側は該当作品が「特定の個人または団体を誹謗する行事と判断される場合、取り消すことができる」という内規を理由に、主催側に作品の撤去を要請したと説明したが、規定が曖昧で解釈が恣意的であるうえ、明確な基準なしにすべての作品を撤去しており、「表現の自由」の侵害をめぐり波紋を呼ぶものとみられる。

 ミン・ヒョンベ議員(無所属)やチェ・ガンウク議員(共に民主党)などは9日、国会疎通館で記者会見を開き、「事務処が今日(9日)未明、国会議員会館第2ロビーに設置された展示作品80点余りを無断撤去した」とし、「風刺で権力を鋭く批判しようとする芸術家の意志を強制的にくじいた」と糾弾した。ミン議員室の説明によると、当初ソウル民族芸術団体総連合と展示組織委員会が主催する「2023グッドバイ展イン・ソウル」(グッドバイ展)は、国会事務処の許可を得て、同日から5日間の日程で国会議員会館2階ロビーで行われる予定だった。しかし、国会事務処が展覧会を目前に控えた同日未明、作品を全面撤去し、展覧会は取り消された。

 事務処側は撤去に先立ち、展覧会を主管したミン議員室に8日夕方から3回にわたり「作品の自主撤去」を求める公文書を送ったという。この公文書で事務処側は「憲法が保障する表現の自由は十分尊重されなければならないが、『国会議員会館会議室およびロビー使用内規』第6条および第7条に基づき、展示作品を8日午後11時までに自主撤去することを要請する」と明らかにした。

 国会議員会館の使用内規によると、国会事務総長は、特定の個人または団体を誹謗するなど他人の権利、公衆道徳、社会倫理を侵害しうる会議または行事と判断される場合▽「国会安全管理規定」に基づき災害の予防と対応のために必要な場合▽国会庁舎の秩序維持を阻害したり国会の品位を著しく傷つける恐れのある会議または行事と判断される場合、空間の使用を拒否することができる。グッドバイ展はこの中で「特定の個人または団体を誹謗するなど他人の権利、公衆道徳、社会倫理を侵害しうる会議または行事と判断」されるというのが事務処の説明だ。議員室関係者は本紙に「事務処側が与野党間で争いがあってはならない。やめてほしいという立場を伝えてきた」と話した。

 展示作品は、特に尹大統領夫妻を辛辣に風刺したものがほとんどだ。ミン議員らは記者会見で、「展覧会の趣旨は、市民を無視して主権者の上に君臨しようとする政治権力、生身の権力の前に無力な言論権力、権力の侍女を自任する司法権力を辛辣かつ楽しく風刺することだった」とし、「今回の展覧会は不当な権力にこれ以上市民が圧死されないという約束でもある」と主張した。それと共に「国会事務処はこのような約束を無断撤去という野蛮な行為で踏みにじった。国会でさえ表現の自由が容認されない現実が恥ずかしい」と批判した。またキム・ジンピョ国会議長に対し、展覧会の正常な進行を約束するよう求めた。

 これに先立ち、2017年第20代国会でも民主党のピョ・チャンウォン議員が朴槿恵(パク・クネ)元大統領を風刺した展覧会を主管し「党職停止6カ月」という党内懲戒を受けたことがあるが、事務処が直接撤去に乗り出したのは異例のことだ。特に「玉虫色」の基準をめぐって批判が高まるものとみられる。ミン議員側は「正確にどの作品にどんな問題があるのか説明もなかった。具体的な問題点の確認を要請したが、まともな答えを聞くことができなかった」と説明した。

オム・ジウォン、シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1074941.html韓国語原文入力:2023-01-10 02:09
訳H.J

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