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アスパルテームのダイエット効果否定したWHO、今度は「発がんの可能性も」

登録:2023-07-01 02:38 修正:2023-07-01 07:13
世界保健機関、発がん性物質に指定する方針 
来月14日、一日の摂取勧告量を発表する予定
米ペプシコ社の人工甘味料アスパルテーム入りのペプシと普通のペプシが共に並べられている=ニューヨーク/AP・聯合ニュース

 世界保健機関(WHO)がダイエットコーラなど多くの食品に砂糖の代わりに使われる代表的な人工甘味料「アスパルテーム」を「発がん可能性物質リスト」に分類する方針を決め、来月14日にはこのような方針とともに一日の摂取勧告量を発表する予定だ。ロイター通信が29日(現地時間)付で報道した。

 同通信は、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)が外部専門家らとの会議を経て、最近このような分類方針を最終確定したと報じた。これとは別に、WHOと国連食糧農業機関(FAO)の合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が、ヒトが安全に摂取できるアスパルテームの量に対する勧告案を検討しており、IARCと同時に勧告案を発表する予定だ。

 IARCは各種食品と化学物質などを、ヒトに対して発がん性がある▽ヒトに対しておそらく発がん性がある▽ヒトに対して発がん性がある可能性がある▽ヒトに対する発がん性について分類できないという4グループに分けしている。

 IARCの発がん性物質の分類は全世界の規制機関に大きな影響力を及ぼす。このため、アスパルテームに関する同機関の決定は各国の規制機関の後続措置を触発する一方、食品業界にも直ちに影響を及ぼす見通しだ。

 アスパルテームはJECFAが1981年に一日の摂取量を制限する必要のない添加物と規定して以来、世界的に砂糖に代わる甘味料として広く使われている。当時、JECFAは一日に体重1キロ当たりアスパルテーム40ミリグラムまでは摂取しても問題がないと判断した。これは体重60キロの成人が一日にダイエットコーラ12~36缶を飲む時に摂取する量。

 しかし、最近になってアスパルテームの発がん可能性に対する追加研究が発表され、安全性をめぐる議論が巻き起こった。フランスのソルボンヌ・パリ北大学の研究陣は昨年3月、成人10万2千人余りの食品摂取を分析した結果、アスパルテームとアセスルファムKのような人工甘味料が発がんのリスクをやや高めると発表した。ただし、ロイター通信の報道によると、アスパルテームとがんの間の因果関係が証明されたわけではないという。

 アスパルテームの発がん性をめぐる議論は食品業界のアスパルテーム使用にも影響を及ぼしてきた。同通信の報道によると、米飲食品大手のペプシコは2015年、自社の炭酸飲料にアスパルテームの使用を中止したが、翌年に再び使用を開始し、2020年に再び使用を中断した。

 同通信によると、IARCの報道担当はIARCとJECFAの決定は7月まで公開できないとし、IARCの結論は「発がん性を理解するための最初の必須段階」に当たると述べた。IARCはこれまでアスパルテームに関する1300件の研究結果を検討しており、「発がん可能性のある物質」への分類はさらなる研究を促すためだと、ある消息筋が伝えた。

 オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学のオリバー・ジョーンズ教授(化学)は英紙「ガーディアン」に「確実な結論を下す前にIARCの総合的な評価結果発表を待たなければならない」と指摘した。

 一方、WHOは先月15日、砂糖の代わりにアスパルテームのような人工甘味料を摂取しても体重を減らす効果があまりないとし、人工甘味料を体重調節用に使わないよう勧告した。

 韓国でもアスパルテームはお菓子やパン、マッコリ、ヨーグルトのような乳加工品など様々な加工食品に使われている。食品医薬品安全処はこの甘味料を発がん物質には指定していないが、取りすぎるとじんましんや血管肉腫などの副反応が伴う可能性があるとして、過剰摂取を規制している。食品医薬品安全処の食品添加物基準及び規格告示によると、パンと菓子類の場合、製品1キロ当たり5グラム以下、シリアルは1グラム以下、健康機能食品と体重調節(ダイエット)用調剤食品はそれぞれ5.5グラム、0.8グラム以下にアスパルテームの使用を制限しなければならない。

 アスパルテームの一日推奨摂取量(1日摂取許容量・ADI)は体重1キロ当たり40ミリグラム以下。ヨーグルト(65ミリリットル)1本にはアスパルテーム5.6ミリグラムが含まれているが、体重60キロの成人は一日にヨーグルトを428本以上飲むと推奨摂取量を超過する。食品医薬品安全処が2019年に調査した結果、韓国人の平均アスパルテーム摂取量は一日摂取許容量の0.12%で低い方だった。

 食品医薬品安全処は、IARCがアスパルテームを「発がんの可能性のある物質」に指定するかどうかについて発表する際、共に公開されるJECFAの危害性評価の結果に基づき、国内でアスパルテームの使用を引き続き許可するかどうかを検討する計画だ。

 食品医薬品安全処の関係者は「アスパルテームを発がん可能性のある物質に指定しても『添加物としての使用は可能』とすることも考えられる」とし、「現在、米国や欧州連合(EU)、日本などもアスパルテームを甘味料として認めており、国外の動向を総合的に検討している」と明らかにした。

シン・ギソプ先任記者、チョン・ホソン、ユ・ソンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1098190.html韓国語原文入力:2023-06-30 18:59
訳H.J

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