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[インタビュー]「12~14時間の空腹は健康維持の基本」

登録:2022-01-22 09:41 修正:2022-01-22 11:48
「ダイエットメンター」パク・ヨンウ教授
パク・ヨンウ教授提供//ハンギョレ新聞社

 「健康の最も重要な前提は、きちんと食べてよく休むことです。間欠的ファスティング(断食)は健康を追求する食事法の一つです」

 家庭医学科専門医のパク・ヨンウ氏(江北サムスン病院健康医学本部教授)は、1991年に当時としては斬新な健康増進のための肥満クリニックを韓国で初めて開き、30年余りにわたり各種のダイエットと健康の相関関係を研究し、体系的なプログラムを作ってきた。彼自身もダイエッターであり、厳しく情熱的な「ダイエットメンター」として多くの臨床経験がある。特に、きちんと食べて食事を一度に絶つ「間欠的ファスティング」の有用性を再発見し、これを治療に利用している。以下はパク教授との一問一答。

-間欠的ファスティングはなぜ必要なのか。

 「現代人が肥満になる理由は、たくさん食べるからではなく、休まずに食べるからだ。ちゃんと食べることも重要だが、修理と充電のための休憩時間を与えることも重要だ。休息時間を十分に与えなければ、私たちの体は脂肪を燃やして利用する代謝が退化してしまう。このような時に間欠的ファスティングを活用すれば、脂肪を使う新陳代謝のスイッチが入り、脂肪を燃焼させる体に変わる。体が回復すれば、ようやく体は本来の機能を発揮できる。間欠的ファスティングは脂肪を使う体に変えるためのダイエットプログラムに含まれるもので、健康を追求する食事法の一つだ」

-食べる量を減らす低カロリーダイエットと違う点は?

 「自分の体が欲する分の食べ物を十分に摂取しない低カロリーダイエットを続ければ、体はこれを『危機状況』と認識して基礎代謝量を落とす。後から、食べるのを減らしてもこれ以上体重が減らない停滞期が来ることになる。また、低カロリーダイエットはストレス反応を誘発するが、これを持続させると結局過食や暴食につながりやすい。一方、間欠的ファスティングは普段体が望むだけ十分に食べ物を摂取し、たまに空腹時間を増やすというものだ。ファスティング後に正常な食事に戻れば基礎代謝量も落ちず、ストレスも持続しない」

-「パク・ヨンウダイエット」で重要なことは何か。

 「12~14時間の空腹は健康維持の基本だ。夕食後、少なくとも12時間は空腹を維持してこそ、生体リズムが正常に維持される。米国の資料によると、米国人の50%が12時間の空腹を保てないという。夜遅くに食べたくなって夜食を食べ、結果的に12時間空腹を守ることができなかったということは、健康な体ではないという証拠だ。健康な体は夕食を食べて、翌朝までお腹が空かないものだ」

-血糖値は正常な範囲だが、食べ物を断つと体が震えて冷や汗が出るとしたら?

 「『偽性低血糖』である可能性がある。健康な体は、食事で得た糖質を先に使い、血糖値が下がり始めると脂肪を使う。脂肪を使う代謝が退化すると、すぐに脂肪を引き出して使うことができず、筋肉たんぱくを分解して糖を供給するようになり、その間に『血糖値が落ちる』症状を訴えるようになる。低血糖は糖尿薬を服用中の糖尿病患者にだけ現われる。糖尿ではなく正常な人が低血糖の症状を感じたなら、脂肪をきちんと使えない体に変わったとみなければならない(これを『インスリン抵抗性』という)。もう一つ、インスリン抵抗性が生じて甘いものを食べて血糖が上がる時、インスリンが正常より多く分泌されるケースだ。糖が充填されると血糖値が急激に上がって下がる『血糖スパイク』が生じる。このような時も、偽性低血糖の症状が生じることがある。この症状は時間が経てば自然に消える」

-従来の健康の常識は、3食の規則的な食事が基本だが。

 「人間が1日3食をきちんと食べるようになった歴史は50年にもならない。その前は、人類は食事を欠くのが日常茶飯事だった。わざわざ3度の食事にこだわる必要はないと思う。1食で食べ過ぎたなら、次の食事は抜いてもいい。逆に、年を取った人は消化機能が落ちて一度にたくさん食べられないため、1日4度の食事で必要な栄養素を得ることができる。14時間空腹を維持し、食事をする10時間の間、おやつを含めて1日4食を勧める」

-たんぱく質はどれくらい摂るべきか。

 「ダイエットには非常に複雑な栄養学が介入するため、たんぱく質摂取量を単純化するのは難しい。ただ、ガイドを与えるなら、筋肉を作る時は3時間ごとに20グラム程度摂るのが適当だ。成長発達期にある小児青少年や筋減少症の危険性がある高齢者は、たんぱく質をより多く摂取しなければならない。一方、成人は動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を適量、バランスよく摂取した方が良い。パク・ヨンウダイエットでたんぱく質の摂取を強調するのは、炭水化物の摂取を意図的に制限するためだ。脂肪をあまり使わない体なのに炭水化物を急に大きく減らすと筋肉たんぱくの損失が生じるため、たんぱく質を不足させないようにしなければならない」

-たんぱく質パウダーなどを過度に食べるのは良くないという理論もある。

 「炭水化物とたんぱく質をいずれもたくさん摂る場合、問題が発生することがある。炭水化物をまずエネルギー源として使い、残ったたんぱく質は体外に排出しなければならないため、腎臓が働くことになる。炭水化物を少なく摂ると、摂取したたんぱく質の一部がエネルギー源として使われるため、腎臓にそれほど負担がかからない。食べ物をうまく噛めない高齢者は、食べ物だけではたんぱく質を十分に得ることが難しいため、たんぱく質パウダーを活用して必要なたんぱく質の要求量を満たすのは悪いことではない」

-最近画期的なダイエット薬が多いが、パク教授は薬を処方しないことで有名だ。

 「薬を無条件に拒否して否定的に見ているのではない。食事療法を行っているが、炭水化物中毒がひどく、小麦粉の食べ物などダイエットによくない食べ物を断つのが難しい患者なら、薬の助けを得ることもできる。例えば、血圧が180/120mmHgまで上がった患者がいるとしよう。だが仮に、今が1950年代でまともな薬物が開発されておらず非薬物療法以外に方法はないとしたら? 徹底的に低塩食をとり、運動でぜい肉を減らし、熟睡し、ストレスを減らし、タバコをやめるなど、生活療法を徹底的に行うしか方法はない。70キロだった人が急に90キロになった肥満の場合、高血圧薬のように、薬物を服用すれば何の努力もなく70キロに体重が維持され安全に一生飲める肥満薬が開発されるならいいが、今はそんな薬はない。一時的に食欲を抑えることが根本的な肥満治療薬になり得るか? たやすい方法を探したり、食べるのを減らせば痩せると勘違いして食欲抑制剤を乱用すると、体を壊す。薬はちゃんと使えばこそ効果がある。下手をすれば薬が毒になる可能性もある」

パク・ヨンウ教授の著書あるいは翻訳したダイエット本//ハンギョレ新聞社

-これまで新人類ダイエット、4週間解毒ダイエット、3週間のスイッチオンダイエットなどを提案してきた。現在の結論は?

 「体を変えるのは簡単ではない。例外なく実践してこそ体が変わる。国内の大手企業の役員・社員たちとダイエットプログラムを持続的に実施した結果、体が変わるためには少なくとも3週間が必要だという結論が出た。体が変わればはやく健康になる。重要なのはモチベーションだ。今もプログラムに入る前に、患者たちにどれだけモチベーションがあるかを必ず聞いてみる。診療室に毎週通えるかを聞き、プログラムを始める。診療訪問スケジュールを1週間延ばしただけでも、結果は大きく変わるからだ」

-パク教授は普段おいしい料理と飲酒を楽しんでいると聞いた。これと共に今後の計画があれば?

 「私は今年60歳。楽しさと幸せを享受するために犠牲にして譲歩しているものはある。1年に1カ月程度は酒をやめてダイエットに突入する。50代まで人生を楽しんだので、60歳になったこれからは80歳以降の老年の暮らしの質を高めるため、酒をもっと減らしてより運動をしようと計画している。認知症予防のために、英語の勉強も再び行っている。100歳時代には、80歳以降の20年間の生き方を今から準備しなければならない」

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/1028272.html韓国語原文入力:2022-01-21 10:05
訳C.M

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