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ユン・ドクミン駐日大使「強制動員の解決策を模索するために『現金化凍結』が必要」

登録:2022-08-09 06:50 修正:2022-08-09 07:29
政府レベルで初めて「現金化凍結」を公の場で言及 
赴任後初の記者懇談会
ユン・ドクミン駐日韓国大使が今月8日、就任後初の特派員懇談会で、現金化凍結が必要だという見解を示した=キム・ソヨン東京特派員//ハンギョレ新聞社

 ユン・ドクミン新駐日韓国大使が8日、韓日の最大懸案である強制動員被害者賠償問題について、「解決策を見出すための外交的空間を設けるためには、現金化の凍結が必要だ」と述べた。韓国政府レベルで「現金化凍結」を公の場で言及したのは今回が初めて。

 ユン大使は同日、東京で赴任後初の記者懇談会を開き、「(強制動員)被害者の人権を尊重しながら、国民と韓日関係の側面を考慮した解決策を講じるのは難しいことだが、模索していくしかない。そのためには外交的空間が必要だ」とし、「現金化凍結の必要性」を取り上げた。

 ユン大使はその理由として、大きく2つを挙げた。まず「現金化が現在最後の段階に来ている。現金化が実行されると、韓日両国はもちろん企業や国民などに天文学的被害が懸念される」と指摘した。さらに、この措置が行われることが被害当事者にとっても望ましくないと強調した。大使は「和解の過程で被害者個人の尊厳を回復し、心の傷をいやすことが必要だが、現金化が実行されると、このようなことが全て無視される。また(現金化後の)競売過程で十分な補償を受けられる資金が得られるのかも疑問だ」と語った。

 現在、韓国最高裁(大法院)は、10代で勤労挺身隊として三菱重工業名古屋航空機製作所に連れて行かれ、強制労働を余儀なくされたヤン・クムドクさんとキム・ソンジュさんに対する損害賠償金支払いに関して、日本企業の資産の「売却(現金化)命令」事件の最終結論を控えている。最高裁が来月頃に最終結論を出す可能性が高いと見られる中、外交部は先月26日、この問題の解決に向けて「外交的努力を傾けている」という内容の意見書を提出した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は当初、現金化決定が出る前に問題を迅速に解決する計画だったが、被害者たちの反発が激しいうえ、支持率が20%台まで落ち込んだことを受け、時間をかけて世論の説得に乗り出す方向に方針を転換したものとみられる。

 ユン大使は、問題解決の核心である「日本政府の態度変化」については、難しいが期待をかけてみる価値があると見通した。「韓日関係を放置するのは日本にとっても良いことではない。ロシアのウクライナ侵攻や台湾海峡、サプライチェーンの再編、北朝鮮の核問題・ミサイル対応などで、韓日関係の悪化は互いにプラスにならない」と述べた。さらに、このような課題が「問題解決のモメンタム(契機)として作用するだろう。一生懸命やってみるつもりだ」と語った。被害者たちは日本企業が謝罪し、賠償にも参加することを求めている。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1053919.html韓国語原文入力: 2022-08-09 02:40
訳H.J

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