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「文在寅政権のように」…尹大統領の就任に牽制球投げる中国

登録:2022-05-12 06:34 修正:2022-05-12 07:11
訪韓した「習近平の右腕」王岐山副主席 
「重要な協力パートナー」と強調し 
「敏感な問題の妥当な処理」を要請 
米国一辺倒の外交に舵を切ることを懸念 
環球時報「前の政権はバランス保つため努力」
今月9日、大統領府本館で文在寅大統領が中国の王岐山国家副主席と面会している/聯合ニュース

「文在寅(ムン・ジェイン)政権のように」

 10日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の就任を眺める中国の視線が厳しい。尹大統領の就任を祝う慶祝使節の挨拶や官営メディアの論評など、状況によって内容のレベルを調整しながらも、米中間でバランスを保っていた文在寅政権の外交路線を維持することを繰り返し強く求めている。尹大統領がこれまで豪語した通り、韓米同盟と韓米日の三角協力を強化するなど「米国一辺倒」の外交を推進して、中国と大きな摩擦を起こすのではないかと警戒感を強めていることをうかがわせる。

 大統領就任式への外交使節として訪韓した中国の王岐山国家副主席が、尹大統領を表敬訪問した際に送ったメッセージは、国交正常化30周年を迎えた韓中関係の重要性だった。彼は「中韓両国は互いに友好的な隣人であり、協力パートナー」だとしたうえで、「現在世界が逆境に置かれている中で中韓が協力を強化することは、両国と地域、ひいては世界にとってますます重要になっている。中国は、韓国との戦略的協力パートナー関係が前進し、これからもより高い水準に進むことができるよう共に努力していきたい」と述べた。

 王副主席はさらに「朝鮮半島問題と関連し、我々(中国)と協力を強化して、敏感な問題を妥当に処理していこう」と要請した。彼が言及した「敏感な問題」とは、尹錫悦政権の外交政策の基本路線である韓米同盟及び韓米日3角協力の強化方針と、文在寅政権の対中政策の基本路線だった「三不(3つのノー:THAADを追加配備しない、米日ミサイル防衛(MD)に加わらない、韓米日協力を軍事同盟に発展させない)政策」の廃棄に対する懸念など、戦略的問題とみられる。王副主席はこの発言でも足りなかったのか、面会室入口の芳名録に「中韓友誼世代伝承」(中国と韓国間の友誼を代々に伝承する)と書いた。中国が歴代の韓国大統領就任式に派遣した要人の中で最高位である王副主席を派遣し、韓中関係を安定させようとする習近平国家主席の思惑がうかがえる。王副主席は習主席の「右腕」とされる最側近だ。

 尹大統領は当選直後の3月11日、クリストファー・デル・コソ駐韓米国大使代理と面会し、「韓米同盟が新しい血盟関係として再び定着しなければならない」と述べるとともに、同日に行われた岸田文雄首相との電話会談でも「韓米同盟と韓米日3カ国の協力強化」を約束した。しかし、日増しに激化する米中戦略競争とウクライナ戦争で本格化した「新冷戦」の流れの中で、既存の外交路線を「急激に変針」すれば、韓中関係は破綻に至らざるを得ない。その上、中国は長期化する「コロナ封鎖」と習主席の3期続投が決まる今秋の第20回党大会準備で非常に敏感な状況だ。昨年11月の「尿素水問題」で分かるように、韓中両国はきめ細かく張り巡らされたグローバルサプライチェーンで強く結びついており、尹錫悦政権が就任初期からうかつな選択をすれば、少なからぬ痛手を覚悟しなければならない。

 中国官営メディアは、より露骨な本音を覗かせた。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙である官営「環球時報」は、尹大統領就任当日の社説で、「韓国の以前の政権はこれに対して明確な認識を持って『肩入れ』を避け、複雑微妙なバランスを取るために努力してきた」としたうえで、「中国は重大利益と関連した敏感な問題に対してはいかなる変更や譲歩もしない」と述べた。その一方で「尹錫悦政権が最近発表した国政課題に『THAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備』が含まれていない点に注目する」として、韓国政府が「三不政策」を継承する現実的選択をするであろうという期待感を示した。

 その中で、一部では過激な発言も飛び出した。中国政府の「非公式報道官」と呼ばれる胡錫進・前「環球時報」編集者は5日、自身のソーシャルメディアに「もし韓国が隣人と敵対する道を選ぶなら、その道の終わりはウクライナであろう」と書いた。韓国の外交路線の変更を懸念する中国強硬派のムードをある程度反映した発言といえる。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1042508.html韓国語原文入力: 2022-05-12 02:39
訳H.J

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