本文に移動

新政権発足初期から試験台に立たされる韓国の外交・安保ライン

登録:2022-05-09 06:40 修正:2022-05-09 08:01
北朝鮮の相次ぐ武力示威、7回目の核実験の兆しも 
南北の「強対強」対立で朝鮮半島情勢の不安が高まる可能性も 
就任11日目に開かれる韓米首脳会談 
北朝鮮・中国・ロシアなど周辺国への外交的波紋を考慮すべき
北朝鮮が尹錫悦次期大統領の就任を3日後に控え、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した今月7日午後、ソウル駅待合室のテレビに関連ニュースが流れている/聯合ニュース

 10日に就任する尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の前に外交安保分野の難題が山積している。ウクライナ戦争で従来の国際秩序が不安定な中、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射する武力示威を行った。21日には韓米首脳会談が予定されている。強硬姿勢を貫いている外交・安保ラインは、新政権発足初期から厳しい立場に立たされるものとみられる。

 北朝鮮は尹次期大統領の就任を3日後に控えた7日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行った。今年に入って15回目の武力示威だ。米国務省は、北朝鮮が咸鏡北道吉州郡豊渓里(キルチュグン・プンゲリ)の核実験場で7回目の核実験を準備中だと警告した。北朝鮮が推進する核弾頭小型化・軽量化・多種化により、核実験は「変数ではなく定数」になったとみられている。

 尹次期大統領側は7日、北朝鮮のSLBM発射探知直後、記者団に「発射状況をリアルタイムで把握し、新政権の安保関連の主要関係者たちと情報を共有した」として、「隙のない対応」を強調した。キム・ソンハン次期国家安保室長は「新政権発足と同時に全般的な北朝鮮核ミサイル脅威について再検討し、早期に政府の力量を結集するとともに、北朝鮮の挑発に対する根本的な対策と核ミサイル脅威に対する実質的な抑制能力を備えていく」と原則的な立場を示した。

 しかし、北朝鮮が核実験という「レッドライン」を越えた場合、朝鮮半島情勢は急速に緊張局面に陥るものとみられる。これまでは中ロの反対により、国連安全保障理事会(安保理)の北朝鮮に対する追加の制裁決議は論議が止まっていたが、核実験後には国際社会のムードも変わる可能性がある。

 北朝鮮がこれまで国連制裁の動きに武力示威で対抗してきたことから、しばらくは国際社会の対応と関係なく朝鮮半島の緊張を高める可能性が高い。北朝鮮の動きが、政権引き継ぎ委員会が国政課題として提示した、自衛権レベルの強力な軍事的対応▽高威力・超精密打撃▽韓米合同野外機動演習の再開などと並行するなら、朝鮮半島は尹錫悦大統領の就任と同時に「強対強」対峙に突き進む可能性もある。

 今月21日に開かれる韓米首脳会談は、新政権にとって最大の難題であり試験台だ。会談の結果によって、朝鮮半島周辺の情勢は激しく揺れ動く可能性がある。

 パク・チン外交部長官候補は2日、国会人事聴聞会で韓米首脳会談の議題について「インド太平洋地域の秩序の新しい変化と、産業サプライチェーンの強化策について集中的に話し合う」と述べた。対中国包囲戦略の性格を帯びている米国主導の「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が今回の会談の主要な議題になるという意味だ。中国が極度に嫌う内容が重要議題になるわけだ。

 新政権が国政課題に掲げた朝鮮半島における米軍戦略資産の展開および定例演習の強化も、安全保障をめぐる中国の安保の懸念を刺激する恐れがある。中国が「内政」と考える台湾問題なども同じだ。元大統領府外交・安保当局者は「昨年5月の韓米首脳会談の共同声明に『台湾海峡の平和と安定維持』という文言が盛り込まれたが、当初、米国側が求めた表現はそれよりはるかに強力なものだった」とし、「韓米同盟『復元』を主張する新政権が、台湾問題の敏感性を考慮せずに共同声明の文案に合意すれば、韓中関係には打撃になりうる」と指摘した。

 さらに、米国側が要求してきたウクライナへの殺傷兵器の提供や、韓米日安保協力の強化問題も、それぞれ対ロシア、対日関係がかかった複雑な問題だ。新政権は韓米同盟強化案の一つとして「韓米日安保協力の拡大」を公言している。日本との軍事協力問題は非常にデリケートな問題だ。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が「国民の共感」を掲げて拒否した韓米日共同軍事演習が朝鮮半島水域で実現すれば、朝中ロなどの周辺国だけでなく、国内政治への波紋も少なくないとみられる。

チョン・インファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1041981.html韓国語原文入力:2022-05-0819:40
訳H.J

関連記事