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米戦争研究所「ウクライナ・ロシア戦争、膠着状態に向かっている」

登録:2022-03-21 09:31 修正:2022-03-21 11:55
「ロシア、主要都市の掌握に失敗 
膠着時、民間人に対する爆撃を強化すると予想」 
「今後2週間が重要…ウクライナ支援を拡大すべき」
ロシア軍の攻撃を受けたウクライナの第2の都市ハリコフ(現地読みハルキウ)のある建物の今月20日(現地時間)の様子/EPA・聯合ニュース

 軍事専門家らは、ウクライナ戦争が膠着状態に向かっており、ロシアはこれを打開するために攻勢を強化する可能性があると見通した。今後2週間が非常に重要だという分析も出ている。

 米国の戦争研究所(ISW)は、19日に公開した報告書「ロシアの攻撃戦評価」で、ウクライナを掌握しようとするロシアの攻撃が「頂点に達した」と評価した。ロシア軍がウクライナの首都キエフ(現地読みキーウ)と第2の都市ハリコフ(現地読みハルキウ)、南部の港町オデッサなど主要都市をいち早く掌握しようとしたが、開戦3週間が過ぎた時点でもそれらの目標達成に「失敗した」ということだ。

 研究所は「ロシア軍はキエフおよび他の地域の周辺部でその地域に対する政治的統制を強化し、(物資の)再供給を受け、部隊を補強しようと試みながら待機している」とし、「概ね現在の前進拠点近くで無期限に待機できる条件を作り始めた」と指摘した。さらに「ロシアの初期作戦がピークに達したのは、ウクライナのほとんどの地域で膠着状態の条件を形成している(ことからわかる)」とし、膠着状態が「数週から数カ月続く可能性がある」と分析した。ロシア軍がここ数日間、キエフ郊外で塹壕を掘っている様子を捉えた米国の民間企業マクサー・テクノロジーズの衛星写真や、「ウクライナが疲労困憊して5月に降伏する」というロシア議員の発言がこれを裏付けていると研究所は説明した。

 このような分析は、ロシア軍がマリウポリなどウクライナ南部では掌握に速度をあげているが、キエフなど大半の地域ではウクライナの強い抵抗と兵站問題などで停滞しているという米軍当局の分析に近い。

 しかし研究所は「膠着状態は休戦や射撃中止ではない」とし「特に長引く場合、膠着状態は非常に暴力的で血みどろになる可能性が高い」と見通した。研究所は、第1次世界大戦時のソンム、ヴェルダン、パッシェンデールの戦いを例に挙げ、戦争で膠着状態は、両者が状況を根本的に変えないまま攻撃的作戦を展開する条件になると指摘した。また「ロシアはウクライナの戦闘継続の意志をくじくために、ウクライナの民間人に対する爆撃を拡大するだろう」と見通した。

 これに関し、英国の国防・安保シンクタンクの王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング氏は「今後2週間が非常に決定的になるだろう」とし、ロシアから発信されるすべてのシグナルはロシアが攻撃を緩和するよりは強化するものとみられると述べたと、ワシントン・ポストが報じた。

 実際、ロシアは今月16日、少なくとも数百人の民間人が避難していたマリウポリの劇場を無差別に爆撃し、週末にウクライナ西部の軍事施設などに2回、極超音速ミサイルを発射するなど、さらに乱暴な行動を取っている。

 退役した米陸軍将軍のベン・ホッジス氏は「米国が主導する西側は、ベルリン空輸作戦のような規模と緊迫感を持ってウクライナに対する支援を早急に拡大しなければならない」と述べたと、ニューヨーク・タイムズが報じた。ベルリン空輸作戦とは、第2次世界大戦当時、ソ連によって封鎖されたベルリンに物資を供給するため、米国などの西側が行なった大々的な輸送作戦をいう。

ファン・ジュンボム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1035584.html韓国語原文入力:2022-03-21 08:07
訳C.M

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