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20年ぶりに団結した米議会、もう一つの戦争指揮部なるか

登録:2022-03-21 06:31 修正:2022-03-21 06:59
9・11以降20年ぶりに民主党と共和党が一致団結 
対ロ強硬制裁、ウクライナ軍事支援強く求める 
プーチン大統領の侵攻が米政界と世論を結束させ 
政府よりも強硬な態度…戦争への影響に注目集まる
今月16日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のオンライン演説を聞いていた米国上・下院議員らが立ち上がって拍手を送っている=ワシントン/AFP・聯合ニュース

 424対8。

 米下院が今月17日、ロシアとの「恒久的な正常貿易関係」の断絶を規定した法案を可決した際の賛否の数字だ。民主党と共和党がことごとく鋭く対立し、党方針投票が一般化した状況では、めったに見られない光景だ。反対した共和党議員8人も、正常貿易関係の断絶には同意するが、法案に含まれた人権関連制裁条項が、大統領に過度な権限を与えるとして反対票を投じた。その2日前、上院はロシアのウラジーミル・プーチン大統領らの戦争犯罪容疑を調査する決議を満場一致で採択した。2001年9月11日の米同時多発テロ事件の3日後、報復のために「すべての必要かつ適切な軍事力」の使用権限を大統領に与える法案を、下院は420対1、上院は表決参加98人全員が賛成で可決した時が思い出される。

 米国議会がロシアのウクライナ侵攻への対応でもう一つの主導勢力として浮上した。特に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、二度にわたって上下院議員に対してオンライン演説を行い、侵攻された国家の首脳から議会が直接支援要求を聞く役割まで担った。外交と安全保障は大統領の主導権を広範囲に認めてきた伝統とはかけ離れた姿だ。

 超党的団結と攻勢的態度は、ロシアに対する世論の反感をそのまま反映したものとみられる。プーチン大統領の行動が米国と欧州の団結を促進する「逆効果」をもたらしたように、米国の世論と政界の団結も引き出したわけだ。ジョー・バイデン大統領の側近であるクリス・クーンズ上院議員は「こうした団結した姿を他のところで探すためには、同時多発テロ事件まで遡らなければならない」と、ニューヨーク・タイムズに述べた。

 米国の世論はそれだけ強硬だ。15日に発表されたピュー・リサーチ・センターの1万441人を対象にした調査で、32%がウクライナへの現水準の支援が適切だと評価したが、42%はさらに支援すべきだと答えた。35%は核兵器を使用する衝突の危険があっても、米国の軍事介入を支持すると回答した。両党の支持層がほぼ同じ割合(共和51%、民主50%)で、今回の事態を「米国の利益に対する重大な脅威」と規定した点も注目に値する。

 両党議員らの強硬対応の意見は似ていても、動機は一部異なる。民主党は、バイデン大統領を後押ししようとする考えが強い。一方、共和党はバイデン大統領をこき下ろすために強硬対応を求める側面がある。共和党指導部は「大統領は一貫して融和策を選んだ」とし、こうした態度がロシアにとってチャンスになったと主張してきた。

 議会の積極性にホワイトハウスが突き動かされているような姿もみられる。バイデン大統領は今月7日、議会がロシア産石油禁輸法案を制定すると明らかにしたことを受け、翌日、石油禁輸を発表した。ワシントン・ポストは、ゼレンスキー大統領が「わが領空を守ってほしい」と演説した翌日の17日、スロバキアが米国などの代替武器支援を前提にS-300対空ミサイルをウクライナに支援するとしたのも、こうしたパターンの一つだと指摘した。当時、ロイド・オースティン米国防長官がスロバキアを訪問中だった。

 議会の圧迫は、対ロ制裁はもとより、軍事援助にも作用し、戦争の様相に影響を及ぼす可能性がある。米国は最近、ウクライナに携行型対戦車ミサイルと携行型対空ミサイルを追加供給し、先端武器の「スイッチブレード」ドローン100台も提供することにした。米国は、携帯しやすく目標物に的中すれば爆発して「神風ドローン」とも呼ばれるこの兵器を大量提供する準備もしている。また、米国がスロバキアとトルコを通じた提供を推進しているロシア製のS-300ミサイルは携行型対空ミサイルとは次元が違う。ロシア軍の制空権を大きく揺さぶる可能性があり、ウクライナが支援を強く求めている。

ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1035498.html韓国語原文入力:2022-03-21 02:35
訳H.J

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