今月14日から3日間続いているウクライナとロシアの4回目の高官級会談で、「重要な進展」があったことを示す交渉当事者の発言と世界の主要メディアの見通しが出たことで、戦争が収拾局面に入るかどうかに関心が集まっている。しかし、ロシアが関連報道について「正確ではない」との立場を示し、最終合意に至るまではかなりの難航が予想される。
英国のフィナンシャル・タイムズは16日(現地時間)、交渉結果について説明を聞いた5人の消息筋の話として、両国が「ウクライナが中立を宣言し、軍事力の制限を受け入れれば、ロシアが攻撃を中止して撤退する内容を含めた暫定的な平和計画について重大な進展を成し遂げ」と報じた。具体的に協議中の草案には、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)加盟を放棄し、外国軍や軍事基地を配置しない代わりに、米国、英国、トルコなどがウクライナの安全保障を提供する案が含まれているという。
しかしウクライナは、自国の安全保障を受けるためには、米国、英国、トルコだけでなくロシアも含まれる「法的拘束力」を持つ条約を締結すべきだという立場を貫いている。また、ロシアが交渉を口実に時間を稼いだ後、首都キエフ(現地読みキーウ)などへの攻勢を強化する可能性についても神経を尖らせているという。
両国が第4回目の会談で一部進展を成し遂げたことは、両国当局者の発言からも一部確認される。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、米議会でのオンライン演説で「ロシアとの交渉がより現実的な方向に向かっている」と述べており、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相も同日、自国メディアとのインタビューで「交渉は容易ではないが、妥協を実現できるという希望も見える」と言及した。しかし、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は17日、フィナンシャル・タイムズの報道について、「正しい要素はあるが、全体的に見て間違っている」と否定的な立場を示した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先月24日の侵攻後、ウクライナに非武装化や脱ナチス化、中立化という「3大要求事項」と、2014年3月に強行したクリミア半島の合併と東部ドンバス地域にある二つの自称共和国の独立を認める「過酷な要求」を繰り返してきた。その後、イスラエルやトルコ、フランスなどが、プーチン大統領の「最大限の要求」とウクライナが受け入れられる「現実的な代案」であるNATO加盟放棄を意味する「中立化宣言」の間で、妥協を仲裁してきたという。
これと関連してウクライナの態度に変化が現れ始めたのは8日からだった。ゼレンスキー大統領が率いる与党「国民の鐘」は、同日の声明で「ウクライナがNATO加盟を放棄する代わりに、米国、ロシア、トルコなどが参加する『新安全保障条約』に署名する」案を提案した。15日、キエフを訪問したスロベニアのヤネス・ヤンシャ首相も、英国の「ガーディアン」に、ウクライナがNATO加盟を諦める方向で憲法を改正するのに積極的な立場だと明らかにした。ウクライナは親ロシア政府を崩壊させた2014年の「ユーロマイダンデモ」後、2019年にNATOと欧州連合(EU)への加盟計画を憲法に明示している。ウクライナは、NATO加盟は放棄できるが、先月28日に正式に加盟申請書を提出したEUには必ず加盟するという立場だ。
ウクライナの首席代表のミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は16日、自身のツイッターに「我々の立場は非常に具体的だ。(ロシアが含まれた)法的拘束力を持つ安全保障、停戦、ロシア軍の撤退だ。これは両国首脳の直接対話を通じてのみ(実現)可能だ」という書き込みを残した。現在対立が続いている安全保障問題に関しては合意が成立するとしても、両国はクリミア半島の合併とドンバス内の二つの国家の独立を認めるなどの「領土問題」という大きな山を越えなければならない。