新型コロナウイルスのオミクロン株が広がっている南アフリカで、ファイザーのワクチンの感染予防効果と重症予防効果が以前より低下したという研究結果が発表された。この結果は、正式に論文として提出されて査読を経たわけではないが、オミクロン株感染者に対する実際の調査であるという点で注目される。
南アの健康保険会社ディスカバリー・ヘルスと南アの医療研究委員会は14日(現地時間)、先月15日から今月7日にかけて実施した21万1000人に対するウイルス検査を分析した結果、ファイザーのワクチンを2回接種した人の重症予防効果は70%ほどであったと発表した。ロイターによると、これはデルタ株が広がった際の93%より低い。ワクチンの2回目の接種を終えた人の感染予防効果は33%で、デルタ株の流行時(80%)に比べて大きく低下していた。
分析対象者のうち、オミクロン株感染者は全体の37%ほどに当たる7万8000人だった。また、全体の41%はワクチンをすでに2回接種している人だった。南アではまだワクチン接種完了者に対する追加接種(ブースターショット)を実施していないため、オミクロン株が追加接種にどのような影響を及ぼすかは分析されていない。
研究チームは、ワクチン接種者やウイルス感染症から回復した人がウイルスに再感染する危険性は以前より高いものの、感染者が入院する危険性は、昨年のコロナ流行初期に比べて29%低かったと指摘した。ただし研究チームは、これらの分析結果が暫定的なものであることを強調したとロイターは伝えた。
英国サウサンプトン大学グローバル保健上級研究員のマイケル・ヘッド博士も「個別の国の事例からあまりにも多くを推論するのは避けなければならない」とし「例えば南アでは、オミクロン株の症状は(既存の変異株より)軽いという話が出ているが、デンマークでは逆の報告がなされている」と指摘した。米国ジョンズ・ホプキンス大学の感染症学者デイビッド・ダウディ博士も「初期の研究結果に恐怖を感じたり研究結果を無視したりせず、じっくりと待つことを社会全体が学ぶ必要がある」と指摘したとAP通信は伝えた。