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バイデン大統領「国益のない戦争はもうしない…軍撤退を後悔しない」

登録:2021-08-18 06:09 修正:2021-08-18 08:27
米国、20年間のアフガニスタン戦争で成果なしで退場 
「歴史的敗北」批判に対国民演説 
「政府崩壊、予想より早い」と誤判認める
米国のジョー・バイデン大統領が今月16日(現地時間)、ホワイトハウスでタリバン政権の復活に関して演説した後、退場している=ワシントン/AFP・聯合ニュース

 米国は2001年に始まったアフガニスタン戦争を20年ぶりに終え、タリバン政権の再登場を目撃しながら、“空手で”退場した。9・11同時多発テロ以降、アルカイダに報復すると共に、地政学的緩衝地帯であるアフガニスタンのテロ基地化を防ぐために侵攻を行ったが、「帝国の墓場」のアフガニスタンで英国やソ連に続いて歴史的な敗北を喫した。米国のジョー・バイデン大統領は16日(現地時間)、アフガニスタン政府の崩壊が予想より早かったと認めながらも、「米軍の撤退は正しい決定だ」と強調した。

 ワシントン周辺のメリーランド州にある大統領の別荘のキャンプ・デービッドに滞在していたバイデン大統領はこの日、ホワイトハウスに戻り、国民向け演説を行った。バイデン大統領はアフガニスタンで起きている状況が悲しいとしながらも、「私の決定を全面的に支持する」とし、「アフガン戦争を終わらせることにした私の決定を後悔しない」と述べた。今月末までにアフガニスタン駐留米軍を完全に撤退し、20年間続いたアフガン戦争を終息する方針を再確認したのだ。彼は「アフガニスタンにおける私たちの任務は(テロへの対応であって)国家建設ではなかった」とし、10年前、アルカイダの首長オサマ・ビンラディンの殺害などで目的を達成したと繰り返し強調した。また「私はアフガニスタンから米軍を撤退する良い時期というのは決してなかったという事実に20年が経ってからようやく気づいた」とし、「それが、私たちがそこに居続けた理由だ」と説明した。

 バイデン大統領はさらに「真実は、これが私たちの予想よりもはるかに早く進められたこと」だと述べ、アフガニスタン政府の崩壊とタリバンの政権奪還のスピードを予測するのに失敗したことを認めた。しかし、情報の失敗や誤った判断については触れず、アフガニスタンの指導者たちを非難した。彼は「そして何が起こっただろうか?アフガニスタンの政治指導者たちは国を捨てて離れた。アフガン軍の一部は戦おうともせず、自ら崩壊した」とし、国外に逃避したアシュラフ・ガニ大統領らを批判した。

 また「私の決定が批判を受けることは承知している」とし、「しかしこの決定を次の大統領に任せるよりは、すべての非難を私が引き受ける」と述べた。「我々の国益に合わない紛争に無期限に残って戦う過去の過ちは繰り返さない」ということだ。

 米国は9月11日の同時多発テロ事件直後、タリバン政権にテロの背後人物であるアルカイダのオサマ・ビンラディンの身柄引き渡しを要求したが拒絶され、同年10月にアフガン攻撃を始めた。タリバン政権は2カ月後に崩壊したが、ブッシュ政権はビンラディンを見つけられず、2003年のイラク戦争の開始とともにアフガニスタンを放置した。その間にタリバンは勢力を拡大し、バラク・オバマ元大統領は再びアフガニスタンに兵力を増強した。2011年5月、米軍の特殊部隊がパキスタンに潜伏していたビンラディンを殺害したことで、アフガン戦争の目的が消滅したが、米国内でタリバンの再建への懸念の声があがり、米軍撤退の機会を逃した。

 そのようにして米国は20年もの間アフガニスタンに金と資源を注ぎ込んだにもかかわらず、アフガン軍と警察の精鋭化に失敗した。バイデン大統領は「米国が1兆ドルをかけて30万人のアフガン軍を訓練し、武装させた」とし、「私たちは彼らに給料など必要なすべての道具を提供し、自らの未来を決定する機会を与えた」と述べた。さらに「その未来のために戦う意志は、私たちが彼らに提供できるものではなかった」と述べた。

 しかしワシントンポストは、アフガン軍の全面的崩壊は長い間累積された結果だと指摘した。白紙状態のアフガン軍と警察を、米国防総省の中央集権式指揮システムと複雑な官僚主義をモデルに構築できると考えたこと自体が傲慢だったということだ。また、アフガン軍は政府に対する不信と指導部の腐敗によって士気が低い。米国の撤退が発表されてから、タリバンの進撃が続く中、アフガン軍ではガニ政権のために命をかける価値がないという考えが広まったと、ニューヨークタイムズが報じた。

 バイデン大統領は先月8日の演説で、アフガン軍の戦闘力に信頼を示し、1975年の米国のベトナム戦争敗北当時のサイゴン脱出のようなことは起きないと断言した。米国が20年間アフガニスタンに滞在し、イスラム教徒が多数であるうえに部族的特徴の強いアフガニスタン人の心をつかめなかっただけでなく、現地の情報把握にも失敗したことを示す象徴的な場面だ。米メディアと議会はタリバンのアフガニスタン政権奪還のスピードを予想できなかったバイデン政府の“失敗”を攻撃する機会を狙っている。しかし、バイデン大統領は16日、ホワイトハウスで約20分間演説した後、記者団の質問を受けずに退場した。

 アフガニスタンの混乱の責任を問い、ジェイク・サリバン大統領補佐官を解雇すべきだという声もあがっている。オバマ大統領時代、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)先任補佐官を務めたブレット・ブルアン氏はこの日、「USAトゥデイ」への寄稿で「策略と問題の可能性を確実に回避し、大統領の目標(アフガンからの米軍撤退)を果たす方法を探るのがサリバン氏の役目だが、そのようなことは起きなかったのは確か」だとし、更迭を求めた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1008052.html韓国語原文入力:2021-08-18 02:30
訳H.J

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