本文に移動

日本の学界・市民社会も「ラムザイヤーの『慰安婦』論文掲載撤回」へ初の共同声明発表

登録:2021-03-11 05:46 修正:2021-03-11 07:31
オンライン記者会見で発表 
代表的な歴史学術団体など4団体参加
日本の市民団体「ファイト・フォー・ジャスティス」(Fight for Justice)と歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会など4団体は今月10日、オンラインで記者会見を開き、ラムザイヤー教授の論文を批判する声明を発表した=記者会見より//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」を売春婦と同一視したハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤ―教授の論文について、日本の学界と市民社会が初めて共同声明を発表し、論文の掲載を撤回するよう求めた。

 日本軍「慰安婦」学術サイトを運営する日本の市民団体「ファイト・フォー・ジャスティス」(Fight for Justice)や歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会の4団体は10日、オンラインで記者会見を開き、ラムザイヤー氏の論文を批判する声明を発表した。

 彼らは声明でこの論文について、「先行研究が無視されているだけでなく、多くの日本語文献が参照されているわりに、その扱いが恣意的であるうえに、肝心の箇所では根拠が提示されずに主張だけが展開されているという問題がある」と批判した。日本軍「慰安婦」被害者たちは「契約書もないままに、詐欺や暴力や人身売買で『慰安婦』にさせられたことが、膨大な研究から明らかになっている。にもかかわらず、ラムザイヤー氏は日本軍の主体的な関与を示す数々の史料の存在を無視した」と指摘した。また、論拠として必要不可欠である事業者と朝鮮人「慰安婦」の契約書を1点も提示できなかったとしたうえ、「この論文は、そもそも女性の人権や女性たちを束縛していた家父長制の権力という観点が欠落している」と強調した。

 ラムザイヤー教授の論文が日本社会に及ぼす影響に対する懸念の声もあがった。これら団体は「この論文が一研究者の著述ということを超えて日本の加害責任を否定したいと欲している人々に歓迎された」とし、「『嫌韓』や排外主義に根差した動きが日本社会で再活性化している」と述べた。

 これらの団体はラムザイヤー教授の論文の掲載を撤回するよう求め、引き続き問題を提起していくことにした。同志社大学の板垣竜太教授(朝鮮近現代史)は同日の記者会見で「論文の撤回が目標だが、学界でこの論文が引用されないよう、深刻な問題があるという点を知らせることも重要だ」と述べた。彼らは今月14日、ラムザイヤー教授の論文を批判するオンラインセミナーを開催する。セミナーには、日本国内の「慰安婦」研究の最高権威者である中央大学の吉見義明名誉教授なども参加する予定だ。

 一方、ラムザイヤー教授の論文を掲載することにした学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」(IRLE)は9日(現地時間)、公示文で同論文は「最終的かつ公式的」に出版されたものだと強調し、印刷の強行を再度示唆した。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/986200.html韓国語原文入力:2021-03-110 2:30
訳H.J

関連記事