日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)が新型コロナウイルスの感染拡大にも関わらず、予定通り7月の東京五輪を強行すると発表したが、開催までには乗り越えなければならない課題が多い。まだ半数しか決まってない五輪代表選手の選抜や選手のワクチン接種、観客の比率など、五輪開催に直接的な影響を与える争点が残っている状態だ。
半年後に迫った東京五輪は、参加選手を選抜することから難航している。25日のIOCの資料によると、現在五輪出場が決まっている選手は約1万1千人のうち57%程度だ。残りは予選を通じて選抜しなければならない。ほとんどの種目で今年3月から五輪予選を兼ねて世界大会などを行う予定だが、新型コロナでまだ日程も決められずにいる。初めて東京五輪の正式種目に採択されたスケートボードの場合、「国際競技団体で競技を行うと言っているが、予選日程など具体的な情報が全くない」と、日本側の関係者が日本経済新聞のインタビューで述べた。体操やボクシングの場合、過去の成績などに五輪出場を割り当てる案を検討しているが、公平性をめぐる議論が起きている。
出場選手の感染予防も難題だ。IOCは委員会の負担で選手用ワクチンを確保すると発表した。しかし、約200カ国が出場するだけに、国ごとに新型コロナの感染拡大状況とワクチン接種のシステムが異なり、選手が優先的に接種できるかどうかは不透明だ。また、選手たちが副作用などを懸念し、接種を拒否する場合、強制する方法がない。大会組織委員会は、ワクチン接種が難しければ、感染予防対策を厳格に実施する予定だと言うが、潜伏期があり、新型コロナを完全に遮断することは容易ではない。最近、初のテニスのメジャー大会である全豪オープンに出場する選手たちが乗ったチャーター機で感染が発生し、2週間の隔離に入るなど、混乱が深まった事例がある。
日本の医療体系も追加の感染者を受け入れる余力がない。日本医師会の中川俊男会長は22日、内外情勢調査会での講演で「今も感染者が多く医療崩壊が頻発している」としたうえで、東京五輪に出場した外国人選手が感染した場合、「受け入れ可能かというと可能ではない」と述べた。
五輪競技に観客をどの程度受け入れるかも争点だ。共同通信は「IOCのバッハ長が22日、メッセージ動画を公開し、無観客での開催も選択肢になり得る」と明らかにしたと報じた。無観客は感染予防にはなるが、選手たちが応援なしに試合をしなければならず、経済的損失も大きい。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、無観客で五輪を開催する場合、約2兆4133億円の損失があると予想した。
日本は米国の動向を注意深く見守っている。毎日新聞は「昨年、史上初の五輪延期の流れを決定づけたのも、米国の動向だった」とし、「トランプ氏が「1年延期してはどうか」と異例の言及をすると、米国の花形の水泳、陸上両競技の連盟が相次いで延期を要請」したと報道した。