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ジョセフ・ユン「韓米同盟危機説は韓国国内政治の話に過ぎない」

登録:2019-04-07 21:31 修正:2019-04-08 07:50
米国務省前対北朝鮮特別代表インタビュー 
「訪米する文大統領は“トランプ-金正恩”関係保存・対話計画持つようにすべき」 
「『韓国が米国より北朝鮮に肩入れしている』という主張は米国では聞かれない」 
「北、非核化の定義明らかにすべき」 
「重大措置をとれば米国には柔軟性の余地」 
「トップダウン接近法は下位レベルの対話と併行してこそ効果的」
ジョセフ・ユン前米国務省対北朝鮮特別代表が5日(現地時間)、ワシントン市内のアジアグループ事務室でハンギョレとインタビューしている=ワシントン/ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社

 ジョセフ・ユン前米国務省北朝鮮政策特別代表は、11日(現地時間)にワシントンで開かれる韓米首脳会談と関連して、「ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が3回目の首脳会談へ進む対話を始めるよう説得することが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最大の役割」だと話した。彼は、韓米同盟危機説については「全く危機だとは考えない」として「純粋に韓国国内政治から出ている話に過ぎない」と語った。対北朝鮮対話論者に挙げられるユン前代表は、昨年2月に対北朝鮮特別代表から退き、現在はアジアグループと米国平和研究所で先任顧問として仕事をしている。5日、ワシントンのアジアグループ事務所で彼に会った。

▲今回の韓米首脳会談で、どのような結果が出るべきと見るか。

 「文大統領は、今まで朝米対話で“ナンバーワン”の役割をしたし、朝鮮半島の緊張緩和は文大統領の功績だ。トランプ大統領は、文大統領がその役割を継続することを望んでいる。米国が北朝鮮との対話を持続することを明確にすることが文大統領の最大任務だ。2月のベトナム・ハノイにおける2回目の朝米首脳会談が合意せずに終わったが、その後もトランプ大統領と金委員長は互いに良い関係を保っていると感じている。今回の訪米における文大統領の第一の任務は、トランプ-金正恩関係を保存し、彼らが今後対話するための計画を持つようにすることだ」

▲北朝鮮に開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光の再開、スナップバック(約束不履行時復元)を前提とした制裁緩和などを提供する方案が議論されている。

 「今は米国が制裁緩和にどれくらいの余地があるかを話すのは早い」

▲韓米同盟の再確認も、今回の首脳会談の主要目標に見える。一角では韓米同盟が危機という主張が出ている。

 「米国と韓国の同盟関係が危険に陥ったとは全く考えない。米国でも韓国でも韓米同盟に対するきわめて深い支持があると見る。(行政府の)高官級で韓米同盟を調整しなければならないという圧力のようなものもない。韓米同盟が危機と考えるいかなる理由もない」

▲それでも韓米同盟危機説が出ている理由は何だと見るか。

 「純粋に韓国の国内政治だと見る。保守陣営が政府与党を批判することは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時期にもあった。コインの両面のようなものだ。保守は、韓米同盟をもって進歩を批判し、進歩は南北関係をめぐり保守を批判しようとする」

▲文大統領に向かって「米国より北朝鮮の肩を持っている」という主張もあるが…

 「それも韓国の国内政治に基づく批判だ。そうした主張は、米国では聞かれない」

▲ハノイで合意できなかった北朝鮮と米国が、再び対話するにはそれぞれ何をしなければならないのか。

 「北朝鮮が非核化の定義をより明確にしなければならない。北朝鮮は「朝鮮半島の非核化」を主張しているが、米国の立場から見る時、韓国には核兵器がない。北朝鮮もまた、完全な非核化に進むロードマップを提示しなければならない。そうすれば米国は制裁緩和をどれだけできるかを議論することができるはずだ。朝米連絡事務所の設置や朝鮮戦争の終戦宣言にも両側が門戸を開いている。そうなれば中間水準の合意が可能だ。平和と安定という大きな目標を共有しつつ、信頼構築をしていく必要がある」

▲米国は、ハノイで北朝鮮の核兵器の米国移転などきわめて水準の高い非核化概念を提示し、それができなければ制裁解除もないという“オール・オア・ナッシング”態度を守っている。

 「オール・オア・ナッシングということは、かけ声にすぎず、交渉ではオール・オア・ナッシングということはない。トランプ大統領が言ったように、非核化には時間がかかり、完全な非核化まではいかなる制裁解除もないと予想することは非合理的だ。米国は、北朝鮮が「非核化のための重大な措置」を取れと言うだろうし、それにより米国が柔軟性を発揮する余地が広い」

▲文大統領が今回の訪米後に金正恩委員長にどんなメッセージを送るべきだと見るか。

 「金委員長が非核化のための重大な措置を取る真正性と意志があることを見せる必要があると、文大統領が伝えると思う。寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄だけでは制裁緩和を期待するのに充分でない。北朝鮮は、以前から寧辺核施設廃棄の約束を何回もしてきたし、多くの人々が『なぜ寧辺に代価を払わなければならないのか』と考えうんざりしている」

▲今まで朝米対話を続けてきたトップダウン方式は、今後も効果的と見るか。

 「トップダウン接近法は、さらに低いレベルの対話を伴わなければならない。ハノイの失敗は、実務レベルで首脳たちが扱うものを提供できなかったためだ。それで、金委員長とトランプ大統領がそれぞれ異なる期待を持ってハノイに行き、結局は失敗した。トランプ大統領が必要ならば下のレベルにもう少し柔軟性を発揮するよう指示しなければならない。首脳会談前に、朝米双方の実務対話が何度もなされなければならない」

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/889044.html韓国語原文入力:2019-04-07 19:28
訳J.S

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