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「米国、北朝鮮に“ゼロか100か”のアプローチを固守」

登録:2019-03-11 06:17 修正:2019-03-11 08:14
米高官「同時的・並行的原則」→「段階的アプローチの支持者いない」 
フランク・オム平和研究所先任研究員「金正恩政権が歓迎しない後退」 
「対北朝鮮タカ派のボルトンがポンペオ・ビーガンに勝った」 
 
米メディア、「山陰洞で車・列車の動き確認…
北朝鮮、衛星打ち上げを準備しているもよう」 
北朝鮮の金正恩国務委員長と米国のドナルド・トランプ大統領//ハンギョレ新聞社

 第2回朝米首脳会談が合意文の作成なしに終わった後、米国が北朝鮮の核をめぐる交渉で、“ゼロか100か”(all or nothing)の方針を貫いているという分析が示されている。米国が首脳会談の前まで見えていた段階的アプローチを廃棄し、「北朝鮮の完全な非核化」を前提とした“ビッグ・ディール”を目指しているというということだ。

 米平和研究所のフランク・オム先任研究員は8日(現地時間)、ワシントンで行われた第2回朝米首脳会談をテーマにした討論会で、「今の米政府には“ゼロか100か”のアプローチがあるようだ」とし、「これは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が歓迎しないであろう後退」と述べた。ハノイでの首脳会談が決裂した後、米政府が以前とは打って変わり、強硬な対北朝鮮方針を掲げていると指摘したのだ。

 これと関連して米国務省当局者は7日、記者団に「行政府で(北朝鮮の非核化に向けた)段階的アプローチを擁護する人はいない」とし、トランプ大統領の最初の任期(2021年)内に北朝鮮の完全な非核化が可能だと述べた。非核化の概念についても「核燃料サイクルのすべての主要部品や核分裂物質、核弾頭を除去し、すべての大陸間弾道ミサイル(ICBM)を除去または破壊するとともに、他のすべての大量破壊兵器(WMD)プログラムを永久に凍結するもの」だとし、急激に敷居を上げた。これは、スティーブン・ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表が首脳会談前の1月31日、スタンフォード大学で行った講演で「同時的・並行的」の原則を示したことや、マイク・ポンペオ国務長官が「北朝鮮の非核化は長い道のりになることを知っている」と持続的に述べてきたこととは、明らかに異なる内容だ。

 AFP通信はこれについて、「対北朝鮮タカ派のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)がポンペオ長官とビーガン代表に勝利したものと見られる」と分析した。これに先立ち、ボルトン補佐官は北朝鮮核交渉の初期である昨年5月、朝鮮半島の非核化について「その決定の履行はすべての核兵器をなくし、それらを解体してテネシー州オークリッジに送ることを意味する」とし、「それはウラン濃縮とプルトニウム再処理能力を除去することを指し」と述べ、北朝鮮の反発を招いた。

 同通信は続いて、ドナルド・トランプ大統領が金正恩国務委員長と「良い関係」を重ねて強調しているのも、“ゼロか100か”のアプローチを裏付けるものだと指摘した。トランプ大統領が金委員長との“相性”で、「完全な非核化」と「制裁の全面解除」を一気に交換できると信じているということだ。 しかし、米国内の北朝鮮専門家たちは、一度に“100(すべて)”を手に入れることを目指すアプローチの非現実性を指摘してきたと、ワシントン・ポスト紙は報じた。

 こうした中、NPRやCNNなどの米メディアは9日、北朝鮮が平壌(ピョンヤン)付近の山陰洞(サヌムドン)ミサイル総合研究団地で、ミサイルや衛星用ロケットの発射を準備する動きが確認されたと報道した。写真を分析したミドルベリー国際学研究所東アジア不拡散プログラムのジェフリー・ルイス所長は「北朝鮮が衛星を軌道に乗せるために準備しているものと見られる」という不吉な見通しを示した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/885286.html韓国語原文入力:2019-03-10 20:44
訳H.J

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