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「ニュース分析」北朝鮮がハノイ会談前にミサイル実験場の復旧の兆し見せた理由とは?

登録:2019-03-08 06:32 修正:2019-03-08 07:58

異常信号をどう捉えるべきか 
 
東倉里の構造物を復旧する動き 
朝米首脳会談前に把握 
「対米交渉力高めるための圧迫カード」との分析も 
 
国情院、火星15型山陰洞基地でも 
先月直前に輸送車両の増加を確認 
寧辺のウラン濃縮施設も正常稼動 
 
トランプ大統領「事実なら非常に失望するかもしれない」 
様々な分析飛び交うが「挑発」と断定するのはまだ早い

北朝鮮の平安北道鉄山郡東倉里の西海ミサイル発射場の昨年12月5日(上)と今年3月2日(下)の衛星写真。民間衛星会社のデジタルグローブが6日に提供/AFP聯合ニュース

 北朝鮮が西海(黄海)東倉里(トンチャンリ)長距離ロケット(ミサイル)発射場施設の一部を復旧しているという見通しが相次いで示される中、ドナルド・トランプ米大統領が6日(現地時間)、ホワイトハウスで「断定するにはまだ早い」としながらも、「事実であることが確認されれば、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に非常に失望するかもしれない」と牽制球を投じた。平壌(ピョンヤン)郊外の山陰洞(サヌムドン)ミサイル研究基地でも、車の出入りが活発になったという。ハノイでの朝米首脳会談以降、北朝鮮の動きに対して異なるシグナルが送られている中、事実の真偽と北朝鮮の意図に関心が集まっている。

 「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)放送は7日(現地時間)、民間衛星会社「プラネット・ラボ」の衛星写真を分析し、「東倉里ミサイル発射場の移動式組立建物が原状復旧された」と報じた。同建物は昨年7月に解体されたが、先月中旬から資材を移して元の位置に再び建てられたという。国家情報院も5日の国会情報委員会懇談会で、「北朝鮮が昨年7月に撤去した施設の一部を復旧している」と述べた。国情院は復旧動向を把握した時期については明らかにしなかったが、軍関係者は「先月から北朝鮮が東倉里で構造物を復旧していることを把握した」と述べた。ハノイ首脳会談前からこのような動きがあったということだ。

 北朝鮮が、なぜ朝米首脳会談の開催前に東倉里の構造物の復旧に入ったのかについては、様々な分析が飛び交っている。まず、北朝鮮が会談を控えて米国に圧力をかけようとしたのではないかと分析する専門家もいる。交渉力を高めるためのカードということだ。北朝鮮が会談で東倉里ミサイルエンジン実験場の廃棄が取り上げられるとみて、査察や検証に備えて可視的な効果を高めようとしたという分析もある。東倉里ミサイルエンジン実験場と発射台は、金委員長が昨年9月の「平壌共同宣言」で、「関連国の専門家の立ち合いのもと、永久に廃棄」すると約束した場所だ。一部では、協議に失敗した場合、ミサイル発射台として活用しようとしたのではないかという疑念も示されている。しかし、北朝鮮がハノイ首脳会談の前まで成果を期待する雰囲気だったという点を考えると、会談の失敗を想定した準備を積極的に行ったとは考えにくい。

 国情院は先月直前から、平壌外郭の山陰洞のミサイル研究基地で物資輸送用車両の移動が増加した動向も把握したという。これもハノイ首脳会談前から始まっていた。

 山陰洞ミサイル研究基地は、北朝鮮が2017年11月29日に発射した大陸間弾道ミサイル「火星15型ロケット」を開発したところだ。北朝鮮が、山陰洞ミサイル研究基地を閉鎖すると約束したことはない。このため、ハノイ会談前の動きを緊張を誘発するための行動と解釈するのは時期尚早だ。単なる施設を維持するための日常的な活動の可能性もある。

 しかし、北朝鮮のこのような動きが、今後のミサイル発射や核実験再開の可能性を排除しないものなら、朝米交渉は軌道を離脱する公算が大きい。北朝鮮はハノイ会談で、核実験や長距離ロケットの試験発射を永久に中止する確約を文書の形にする用意を明らかにしたと公表していた。

ユ・ガンムン記者、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/885006.html韓国語原文入力:2019-03-07 21:27
訳H.J

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