国連総会に出席するため米ニューヨークを訪問中のリ・ヨンホ北朝鮮外務相の「幅広い歩み」が注目を集めている。主要国の外交長官たちと相次いで会談する一方、全世界のメディアに自分の姿を見せ、国連本部の周辺を文字通りに“闊歩”している。1年前国連総会の時とは異なる姿で、6・12朝米首脳会談を前後して変わった朝鮮半島情勢や北朝鮮の積極的な態度を表している。
25日(現地時間)、国賓級の警護を受けニューヨークに到着したリ外務相は、翌日の26日、米国や日本、中国、ロシアなど朝鮮半島周辺4カ国の外相と相次いで会談した。特に彼がマイク・ポンペオ米国務長官との会談で、ポンペオ長官の来月平壌(ピョンヤン)訪問に合意したのは、行き詰ったかのように見えた朝米対話の本格的な再開を知らせる信号弾となった。朝米の外相が会ったこと自体が、変化した両国関係を示す象徴といえる。
リ外務相は同日、中国の王毅外交担当国務委員とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相にそれぞれ会った。また、異例にも日本の河野太郎外相とも会談した。朝鮮半島情勢の急変に伴い、北朝鮮との関係改善を望む日本の外交政策の転換を示す風景だ。ニューヨークのある外交消息筋は「今回の国連総会で、すべての加盟国において北朝鮮が大きな話題になっている」と話した。
リ外務相は27日、国連本部前にあるユニセフを訪問する姿が取材陣に目撃された。リ外務相はまた直径400メートル以内に位置した国連本部や宿泊先(ミレニアム・ヒルトンホテル)、駐国連北朝鮮代表部を車両ではなく警護人員を同行させて徒歩で移動した。カメラを持ってついて回る記者団には何も答えなかったものの、メディアへの露出を避ける気配はなかった。ある外国メディアの記者は「歩く彼を追うのに疲れるほど」だと話した。
これは1年前の国連総会とは完全に異なる姿だ。北朝鮮の核実験や弾道ミサイルの発射、ドナルド・トランプ大統領の「完全な破壊」発言で敵対感が高まった昨年9月、リ外務相は、米国はもちろん、中ロとも接触せず控えめな動きを見せた。
リ外務相は29日、国連総会の演説に出る予定であり、その間、アントニオ・グテーレス国連事務総長や他の国の外相とも2カ国間会談を開く予定だ。彼の演説内容はどの国の首脳の演説よりも注目を集めるものと見られる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を通じて核問題と朝米関係について進展したメッセージを送った状態で、北朝鮮の外交トップが世界が見守る舞台に立つからだ。北朝鮮は対話の動力を続けると共に、国際的なイメージを改善するため、今回の機会を積極的に活用するものとみられる。
リ外務相は8月、シンガポールで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)でも、加盟国の半数に近い11カ国・機関と会談し、“人気”を博したことがある。