米国務省が「寧辺(ヨンビョン)の核施設」を廃棄する際、米国と国際原子力機関(IAEA)査察団の立ち合いが「韓国と北朝鮮、米国の間に共有された認識」だと明らかにした。寧辺核施設の査察問題が南北の「平壌共同宣言」には明記されなかったにもかかわらず、これと関連して、朝米の間である程度の意見接近が行われたことをほのめかしたのだ。
ヘザー・ナウアート米国務省報道官は20日(現地時間)、寧辺の核施設の廃棄過程に米国と国際原子力機関査察団が参加するかを問う記者団の質問に、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は査察団についてもちろん話し合った。国際原子力機関と米国の査察団をあることの一部に含むのは共有された認識」と述べた。彼女はさらに、「それは核廃棄を行う際の正常な過程だ。我々はそれらの国(南北)と認識を共有している。私たちはこれと関連し、北朝鮮政府と協議した。これは、南北の間で了承されており、私が知る限り、ここ数日間で協議された内容の一つ」だと述べた。
寧辺の核施設の廃棄過程における査察問題が注目を集めているのは、平壌の共同宣言に盛り込まれた内容と、ドナルド・トランプ米大統領とマイク・ポンペオ米国務長官らの発言の間に“重大な”不一致が存在するためだ。平壌共同宣言によると、北朝鮮は東倉里のエンジン実験場とミサイル発射台については「関係国専門家たちの立ち合いの元、まず永久的に廃棄」すると明らかにしたが、寧辺の核施設については「米国が相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄といった追加的な処置を引き続き取っていく用意」を明らかにするにとどまった。この文言だけでは、北朝鮮が東倉里に続き、寧辺の核査察まで受け入れたかどうかについて、明確に確認できない。
しかし、トランプ大統領は平壌共同宣言が発表された直後、ツイッターに「金正恩が核査察(Nuclear inspections)を受け入れることで合意」したと明らかにしており、ポンペオ長官も20日の声明で、南北が「寧辺のすべての施設を米国と国際原子力機関査察団の立ち合いのもと永久的に廃棄」することで合意したとし、歓迎の意を示した。彼は19日、「フォックスニュース」とのインタビューでも「我々は北朝鮮(の核)開発計画の一要素を現場で検証することに関して、さらに一歩を踏み出した」と述べた。朝米間の敏感な争点になりかねない核査察問題を既成事実化したのだ。
これと関連し、文在寅大統領は20日、ソウルに帰還してから行った国民向けの報告で、「北朝鮮が平壌共同宣言で使った立ち合いや永久的廃棄という言葉は結局、検証可能な不可逆的廃棄という言葉と同じ意味」だと明らかにした。「立ち合い、永久的廃棄」と表現しているものの、手続きや内容においては査察と検証が含まれていることだ。
一方、ヘザー・ナウアート報道官は同日のブリーフィングで、北朝鮮が寧辺核施設の廃棄に向けた相応措置を求めたのに対し、「いかなることも非核化なくして起きない。非核化が先行しなければならない」として、「先非核化」の原則を再確認した。