10カ月ぶりに向き合った中国の習近平国家主席と日本の安倍晋三首相は、微笑みを浮かべていた。両国の国旗が並べられた会談場に少し先に到着していた習主席が、近づいてくる安倍首相に向かって手を差し出した。両首脳は短く握手を交わした。
ロシアのウラジオストクで開かれている東方経済フォーラムに出席した中日首脳は、12日午前に会談を行った。約40分間にわたる会談で、習主席は「今年は中日平和友好条約(締結)40周年で、最近、安倍首相と日本政府は何度も対中関係で肯定的な姿を見せてくれた」とし、「両国の努力で中日関係は正常な軌道に入っており、発展改善する重要な機会を迎えた」と述べた。
これに対し、安倍首相は「昨年11月(ベトナムのダナンで開かれた)首脳会談は中日関係の新たなスタートを切る非常にいい会談だった。それから半年余りの間、両国間の高官級交流はもちろん、様々な分野で交流と対話が活発になった。中日間の協力の地平がますます広がっている」と答えた。日本経済新聞は、安倍首相が20日の自民党総裁選挙で3選に成功すれば、中日平和友好条約の発効40周年の10月23日前後に中国訪問を計画していると報じた。安倍首相は、習主席が「歓迎する」と述べたと伝えた。
同日の会談で両国は政治・経済だけでなく、文化や安保など様々な分野の協力を拡大することで合意した。しかし、領土紛争が進行中である東シナ海など、敏感な懸案では認識の相違も露呈した。安倍首相は「東シナ海の安定なしには、中日関係の改善もない」として、日本の立場と国連安全保障理事会対北朝鮮制裁決議の履行を強調した。最近の中日関係の改善の流れについては、ドナルド・トランプ大統領の「米国第一主義」に対抗し、中日関係を強化することで米国を牽制しようとする中国と、安定的な対中国関係を通じて米国の通商圧力と北東アジア情勢の変化などに対応しようとする日本の戦略的計算が合致した結果と見られている。
習主席は同日午後、東方経済フォーラムの全体会議の演説で、韓中日と中国・ロシア・モンゴルの協力を取り上げ、「強権政治、一方主義、保護主義が頭をもたげ、国際情勢が複雑に変わっている。和やかで団結し安定的な北東アジアは、各国の利益と国際社会の期待と合致する」と述べた。事実上、米国に対抗した地域協力を訴えたわけだ。
習主席は前日、ロシアのプーチン大統領と会談し、エプロン姿でブリヌイ(ロシア式クレープ)を作って、一緒にウォッカを飲みながら親密さを誇示した。東方経済フォーラムの演説では、2008年の四川省大地震当時、ロシアから支援を受けたある子どもが「大きくなったらロシアで勉強したい」という夢を叶えて、現在、ウラジオストクの極東連邦大学に在学中というエピソードも紹介した。このような一連の“演出”は、中国とロシアの蜜月を強調し、米国を牽制するためと見られる。