ウラジーミル・プーチン大統領が「今年末までに露日平和条約を結ぼう」と提案した。しかし日本は「領土問題を解決してこそ平和条約を結ぶことができる」という既存の見解を変えなかった。
プーチン大統領は12日、今年で4回目をむかえる東方経済フォーラムが開かれているロシアのウラジオストクで「私の頭に浮かんだ考えだ。先に(露日が)平和条約を結ぼう。今すぐとは言わないが、今年末頃に条件を付けずに平和条約を締結したい」と話した。彼は続けて「その後に、この平和条約に基づいて露日が友人としてすべての紛争中の問題に対する対話を続けよう」と話した。プーチン大統領が言及した「紛争中の問題」とは、露日間の永年の懸案である北方領土(千島列島南端4島)の帰属問題と見られる。
露日間で60年にわたり葛藤が続いてきた北方領土問題は、二国間の平和条約締結問題と密接に結びついている。ソ連と日本は、第2次世界大戦が終わり国交を回復し、1956年2月「ソ日共同宣言」に署名した。当時、両国は両国関係を遮る巨大な壁である“領土問題”の解決を保留して、国交だけを正常化する妥協案を選択した。それと共に、ソ日は共同宣言9条に両国が平和条約を締結した後「(4島のうち択捉(エトロフ)と国後(クナシリ)はソ連が保有し続け)歯舞(ハボマイ)と色丹(シコタン)を日本に渡す」ことに合意する。しかし、日本ではその後、ソ連から2島でなく4島をすべて一括返還されなければならないという「4島一括返還論」が政府の基本的な立場として固定した。プーチン大統領のこの日の発言は、ソ連が1956年に同意した2島も返還しない状態でひとまず平和条約を締結しようという“先に平和条約、後で領土問題解決”主張であるわけだ。
日本は反発した。日本の菅義偉官房長官は12日午後、定例記者会見で「プーチン大統領の発言は知っているが、その意図については言及を避ける」としつつも「日本の立場はこれまでも話しているように、北方4島の帰属問題を解決した後(4島をロシアから返還された後)に平和条約を締結するということだ。これには全く変わりがない」と述べた。