本文に移動

[インタビュー]小此木教授「朝鮮半島の緊張の高まりはないだろう」

登録:2018-06-14 08:44 修正:2018-06-15 05:49
小此木政夫慶応大学名誉教授 
 
「非核化合意はあったが検証は抜け 
朝米双方が巧みに試合した感じ 
北朝鮮が追加で核実験をする可能性はない 
日本政府は当分状況見守る」
小此木政夫慶応大学名誉教授=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 史上初の朝米首脳会談をめぐり、日本では「非核化の方法が具体的ではない」とし、懐疑的な意見が多い。日本の朝鮮半島問題の権威者である小此木政夫慶応大学名誉教授も12日夜、ハンギョレとの電話インタビューで「北朝鮮が最終的に非核化をするか疑問を残した会談」だとし、留保的な評価をした。しかし、「朝鮮半島の緊張が再びエスカレートすることはないだろう」と見通した。

ー朝米首脳会談を成功だと評価することができるか。

 「まだ成功とは言えないと思う。ドナルド・トランプ米大統領が真の取引をすると言ったが、共同声明の内容は2005年の9・19共同声明よりも具体的でないため、かえって後退したようにも見える。両方が巧妙に試合をしたような印象を受ける。非核化に対する一般的合意はしたが、検証に対する部分が抜けている。ただ、米国は、体制保証の約束を守らなければならなくなり、韓国と中国もこれを尊重しなければならない。北朝鮮が勝ったゲームに見える。もちろん、北朝鮮も非核化に対する覚悟はある程度したと見える。ただ、最終的非核化、すなわち北朝鮮が核能力を完全に放棄するかについてはまだ確信できない。イスラエルは事実上核保有国だが、自ら核を持っていると明らかにしない。そして、この点がイスラエルにとって抑止力となっている。北朝鮮も同様の道を歩む可能性がある」

ー北朝鮮が「後退」し、再び核実験をするかもしれないとみるか。

 「北朝鮮が追加の核実験を行いはしないと考える。一応、(従来保有している)核兵器の大半は放棄すると見るべきだ。朝米首脳会談の共同声明で北朝鮮も体制保証など多くのものを得た。ただ、前に述べたように、北朝鮮が核兵器保有能力を完全に放棄するかは分からない。そのような意味で今回の共同声明はやや奇妙で複雑だ」

ー今回の合意が破綻した後、昨年のように緊張が高まる可能性はあるか。

 ーその可能性もあまりないと見ている。北朝鮮は、最初から在韓米軍の削減を要求しないなど、交渉に応じるという姿勢を見せてきた。北朝鮮も今回の合意のほとんどを施行すると見る。北朝鮮が真の意味の非核化を決心するならば、(追加の)首脳会談も開かれる可能性がある。しかし、1回の首脳会談で終わる可能性もある。ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、最初から首脳会談を初めて開くということ自体に意味を置いていたため、1回の首脳会談で満足しうる」

ー日朝首脳会談が近いうちに開かれる可能性はあるか。

 「日本は当分、状況を見守るだろう。朝米共同声明の内容があいまいなため、この程度の内容で日本政府が急激に動きはしないだろうと予想している。日本政府は現在、非常に複雑な立場に置かれている。安倍晋三政府は「米国と100%共にある」とし、トランプ行政府を支持し続けてきた。今回の合意内容が不十分だと考えても、対外的には「成功」だと述べなければならない立場だ。日本内では、北朝鮮の完全な非核化の意志を疑問視する見方が多い。しかも、日朝首脳会談を行うなら日本人拉致問題の交渉をしなければならないが、世論が納得するような成果を上げるのは容易ではない。日朝首脳会談をしてもかなり困難な状況に置かれかねず、当分は状況を見守るものと予想する」

東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/848880.html韓国語原文入力:2018-06-13 23:57
訳M.C

関連記事