ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の歴史的首脳会談場所として、平壌(ピョンヤン)がきわめて有力だと伝えられた。朝米は首脳会談の場所と時期に対する追加的細部調整を経た後、来週初めに公式発表すると予想される。
朝米首脳会談の事情に詳しい複数のワシントン消息筋は9日(現地時間)、ハンギョレに「シンガポールは確実に(首脳会談場所では)ない」と明らかにした。特に、匿名を要求したある消息筋は「(首脳会談準備のために)今後平壌へ行く米国の物流が多くなるだろう」とし、平壌開催の可能性を強く示唆した。
トランプ大統領はこの日閣僚会議を主宰して「私たちは(首脳会談の)時期を定め、場所も決めた」と話した。彼は板門店(パンムンジョム)開催の可能性を尋ねる記者たちに「そこではないだろう」と答えた。朝米が平壌と板門店をめぐり綱引きを繰り返したという点で、この発言は平壌開催の可能性を示唆したと解釈することができる。
消息筋の話を総合すれば、北朝鮮は最近まで水面下の交渉過程で平壌開催を強く要求し、米国は板門店を主張し鋭く対抗した。接点が見いだせないため米国は「シンガポールカード」を一時持ち出したりもしたが、「板門店対平壌」という基本構図は根本的に変わらなかったと複数の消息筋は伝えた。
「平壌開催」を後押しする新しい情況も出てきている。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、10日付1面全面を割いて、前日に平壌を訪問したマイク・ポンペオ米国務長官と金正恩委員長の会談事実を8枚の写真と共に大々的に報じた。首脳会談の場所が北朝鮮が敬遠するシンガポールならば、これほどの積極的報道は出てこないだろうと専門家たちは分析した。
首脳会談の時期は、当初6月初めとされていたが、ポンペオ長官の再訪問時になされた協議の過程で、来月8~9日の主要7カ国(G7)首脳会議以後に延期されたという。ワシントンポストは「来月末と予想される」と報道したし、米国のオンラインメディア「バッスル」は「6月中旬」になるだろうと伝えた。
会談の期間と関連してポンペオ長官は、平壌を離陸し在日米軍司令部のある日本の横田空軍基地へ向かう機内で、随行記者たちに「一日の日程で計画しているが、議論することがさらにあれば二日に増えることもあるだろう」と話した。彼は首脳会談の場所・日付・時間を決めたが、まだ発表の準備はできていないとし「私たちは来週初めを希望している」と話した。場所と日付は北朝鮮と米国が共同発表形式で公開するものと予想される。
こうした中でCNNは、匿名の米国役人の言葉を引用して、シンガポールで首脳会談を開く方案を推進せよとの指示が下されたと報道した。しかし、この放送は「結局はトランプ大統領の決定にかかっている」と伝えた。
トランプ大統領は10日、北朝鮮から解放された韓国系米国市民3人をメリーランド州のアンドリュー空軍基地に自ら迎えに行った場で「彼(金正恩委員長)が首脳会談前に3人を解放したことに強く感謝する」と話した。彼は「いつか北朝鮮を訪問したいか」という記者の質問に「そのようなこともある」と答えた。