北朝鮮が抑留してきた韓国系米国人3人を9日、米国に送還した。電撃的に平壌(ピョンヤン)を再訪問したマイク・ポンペオ米国務長官を通じて、これら3人を解放したのだ。首脳会談を控えて事前調整の過程で浮き彫りになった朝米間の「異常気流」が解消され、突破口が開かれるものとみられる。
ドナルド・トランプ米大統領は同日、夜9時40分(韓国時間)にツイッターを通じて「ポンペオ長官が皆が待ちわびていた3人の立派な紳士らと共に、北朝鮮から飛行機に乗って帰る途中だという事実を知らせることができて嬉しい」と明らかにした。トランプ大統領は、解放された彼らの「健康状態は良いようだ」と付け加えた。釈放された3人はキム・ドンチョル氏、キム・サンドク氏(米国名トニー・キム)、キム・ハクソン氏で、スパイや敵対行為、国家転覆陰謀などの罪状で労働教化刑を言い渡されて服役してきた。トランプ大統領はアンドルー空軍基地へ直接出迎える意向を示した。
トランプ大統領はまた、「ポンペオ長官と金正恩委員長の面会は素晴らしいものだった」としたうえで、「(朝米首脳会談の)日時と場所も決まった」と付け加えたが、時間と場所は依然として明らかにしなかった。
ポンペオ長官は、今月8日に米国を離れ、9日朝に平壌(ピョンヤン)に到着した。彼は高麗(コリョ)ホテルで金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長兼統一戦線部長に1時間ほど単独で面会してから、金副委員長と昼食を共にした。ポンペオ長官は昼食後、金正恩国務委員長に会い、抑留者の釈放や朝米首脳会談の準備事項などについて協議した後、その足で抑留者たちと共に帰国の途についたものとみられる。
ホワイトハウスは米国人3人の釈放決定に直ちに報道官声明を発表し、「トランプ大統領は米国市民たちを釈放した北朝鮮の金正恩国務委員長の行動に感謝し、これを善意の肯定的ジェスチャーと見なしている」と明らかにした。ホワイトハウスは彼ら3人が人を力を借りず自ら歩いて飛行機に乗り込むほど、健康状態が良好だと付け加えた。
ユン・ヨンチャン大統領府国民疎通秘書官も同日夜、書面で論評を発表し、「北朝鮮が米国人抑留者3人を送還措置した決定を歓迎する」とし、「北朝鮮のこのような決断は、朝米首脳会談の成功的開催に向けて非常に肯定的な要因として作用するだろう」と明らかにした。
ポンペオ長官は同日、金英哲副委員長に「数十年間、我々は敵国だった」とし、「もう我々はこのような軋轢を解決し、世界に対する脅威を一掃すると共に、北朝鮮の住民が享受すべきすべての機会を持てるよう、共に働くことを望んでいる」と述べたと、ワシントンポスト紙など、同行した米国のマスコミが報道した。
金副委員長は「今、平壌ではすべてがうまく行っている。これから我が国の経済発展に全ての努力を傾ける」と述べた。
これに先立ち、トランプ大統領は、イラン核協定からの脱退を発表する際、ポンペオ長官の訪朝の事実を電撃的に公開した。彼は「取引がうまく行くことを望んでいる。中国と韓国、日本に支えられ、皆のために偉大な繁栄と平和の未来に到達することを願う」と述べた。