ドナルド・トランプ米行政府が22日、サムスン、LGなどの外国産洗濯機と太陽光パネルに対してセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動を最終決定したが、これは韓国・中国などアジア圏国家との“貿易戦争”の序幕に過ぎない。
まず、米商務部は「貿易拡張法第232条」に基づいて、中国などからの鉄鋼とアルミニウム輸入増加調査結果を最近ホワイトハウスに提出した。輸入製品が米国の安保を害していないかを調査し、これを遮断できるようにしたこの条項は、米国産業の被害の有無と関係なく発動可能だという点で超強力な保護貿易手段と言われる。
トランプ大統領は報告書を受け付けてから90日以内に輸入規制措置を取るかを決める。ワシントンの貿易消息筋は「トランプ大統領が早ければ今月30日の新年演説および記者会見の時に関連措置を発表することもありうる」と見通した。
鉄鋼・アルミニウムの調査結果を新年に入ってトランプ大統領に提出したことは、象徴的だ。昨年夏から内部的に論議が活発だったが、引き延ばされてきたこの問題が、結局貿易強硬派の勝利に帰結したことを意味するためだ。強硬派は、安保関連製品を外国産に依存すれば、戦時に弱点になりかねないという論理を前面に出したが、当のジェームズ・マティス国防長官は軍艦のような武器の製造単価が上がりかねないとして強く反対してきた。
鉄鋼に対する米国の貿易救済措置が下される場合、韓国も打撃が避けられないという見方が多い。報告書の内容は公開されなかったが、最近対米輸出が増加した韓国産油田用鋼管に対して、事実上の中国産低価格鉄鋼の迂回ダンピングという見方が米国に存在するためだ。中国の太陽光パネルを狙ったセーフガード措置が韓国産にまで飛び火したのと類似の状況が起こりかねない。
昨年8月、トランプ大統領の行政命令で貿易代表部が着手した中国の知的財産権侵害調査もほとんど終盤に近づいたという。トランプ大統領は17日、ロイター通信とのインタビューで「中国の非常に広範な知的財産権侵害に対して、大規模な罰金を払わせる予定であり、間もなく発表されるだろう」と明らかにした。
今年11月の議会中間選挙という政治日程と相まって、トランプ式保護貿易主義が最高潮に達することには異見がない。洗濯機、鉄鋼、太陽光パネルは、すべてトランプ大統領の核心支持基盤である白人労働者層、地域的には“ラスト・ベルト”(衰退した工業地帯)と直結している。
また、貿易救済措置は大統領に権限が強く委任されているため、議会の協力がなくとも早い決定を下せる容易な政治的手段だ。中国の対北朝鮮圧迫措置が出尽くし、これ以上期待できないと判断したトランプ行政府が“気安く”中国との貿易戦争に乗り出したという分析もある。
米国の今回の措置に対して、中国商務部の王賀軍・貿易救済局長は23日、談話を発表し「自国の事業に対する過度な保護」であり「貿易救済の乱用」として強い不満を表明した。北京の事情に詳しい消息筋は「中国も罰金には罰金、関税には関税のやり方で米国に貿易報復をせざるをえないというムードが広まっている」と伝えた。米中両国がお互いの禁止線を確認できるまで力比べをすると予測される。