ドナルド・トランプ米大統領が29日(現地時間)、中国の習近平国家主席との電話会談で、北朝鮮に対する原油と精製油など油類の供給の中断を要請したと、米国のニッキー・ヘイリー国連大使が公開した。実効性のある対北朝鮮制裁手段がほぼ使い尽くされた状態で、「最後の対北朝鮮圧迫カード」とも言える油類供給の中断をめぐり、米中間に熾烈な駆け引きが行われるものと予想される。
ヘイリー大使は同日午後、ニューヨーク国連本部で開かれた安全保障理事会(安保理)の緊急会議で、「トランプ大統領が習主席に『中国が北朝鮮に対する油類供給を中断すべき時期を迎えた』と話した」と伝えた。ヘイリー大使はさらに、「それ(油類中止)は『国際的除け者』(北朝鮮)を止めるための核心的処置になるだろう」とし、「中国が自ら実行できないなら、米国が油類供給状況を制裁することもできる」と圧迫した。
彼は「核兵器生産の主要動力は油類」としたうえで、「安保理の対北朝鮮制裁を通じて油類供給を30%遮断した。しかし、原油は残っている」と述べた。安保理は今年9月、北朝鮮の6回目の核実験に対応し、ガソリン・軽油などの精製油の輸出を半分ほどに減らし、原油供給は現行水準で凍結する内容の対北朝鮮決議第2375号を採択した。
ホワイトハウスも同日午前、米中首脳の電話会談と関連して報道資料を発表し、「トランプ大統領は、北朝鮮が挑発を止めて非核化の道へ戻るよう、中国がすべての可用手段を使用して確信を持たせる必要性があると、習主席に強調した」と明らかにした。「すべての可用手段」の核心は油類供給の遮断を指すものと見られる。
中国の呉海涛国連次席大使は安保理の緊急会議で、ヘイリー大使の油類供給中断の主張に対し、「対北朝鮮制裁決議が適切な水準の人道主義的活動に否定的な影響を及ぼしてはならないというのが、我々の一貫した立場」だと述べ、「油類供給の全面中断」には反対する考えを示した。しかし、中国は米国の圧迫が強まった場合に備え、油類供給総量の追加削減や「一時中断」の可能性を内部的に検討しているという。
中国外交部の耿爽報道官は30日の定例記者会見で、原油供給問題に関する質問に対し、「中国は安保理で採択された対北朝鮮決議を全面的かつ完全に執行し、我々が果たすべき国際的義務を当然履行する」とし、「朝鮮半島非核化の目標を推進し、平和・安定の維持と対話・交渉を通じた問題解決に役立つ方向で、関連問題を処理する」と答え、従来の原則的立場だけを強調した。