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[社説]米国は対話のハードル下げ、中国はより積極的な介入を

登録:2017-11-30 21:19 修正:2017-12-01 06:57
北朝鮮のICBM発射を受けて招集された国連の安保理緊急会議で発言するヘイリー米国大使=ニューヨーク/EPA聯合ニュース

 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射後、米国が対北朝鮮への強力な制裁の声をあげている。トランプ大統領は29日、中国の習近平主席との電話で北朝鮮への石油の供給中断を要請したという。国連安全保障理事会緊急会議でヘイリー米国連大使が公開した内容によると、トランプ大統領は習主席に「中国が自らできないのなら米国が石油類の供給状況を制裁することもできる」と強く圧力をかけた。

 石油類の供給中断が北朝鮮の政権に大きな痛みを与えることになるのは明らかだ。しかし、中国とロシアが米国が要求するレベルまで応じると期待するのは現実的には難しい。戦略的利益がそれぞれ違うためだ。また、石油類供給中断の影響は北朝鮮の指導層でない住民を直撃する。また金正恩(キム・ジョンウン)政権がこれに屈服して核兵器をあきらめるだろうと期待することはもっと難しい。石油類の供給中断は万能薬でないばかりでなく、状況を悪化させる可能性が高い。

 ヘイリー大使は「北朝鮮の独裁者が我々(米国)を戦争にいっそう近づけた」と述べた。北朝鮮に対する強い警告の目的だったが、何度も「戦争(war)」という単語を使ったのは憂慮される。朝鮮半島で二度と戦争が起きてはいけない。いかなる場合も戦争は正当化されえない。

 トランプ大統領は11月に日本で安倍晋三首相と会った際「ICBMは絶対に容認できない。ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを守るためなら何でもする」と話したと読売新聞が30日報道した。これに対して安倍政権内でも米国の対北朝鮮先制攻撃を憂慮する見方があるという。戦争が起きると日本もまた北朝鮮の報復の対象にされる可能性が高いと見られるためだ。日本がこのようなら、韓国こそ何ができるだろうか。リチャード・ハース米外交協会会長が「(北朝鮮の)武器実験を凍結させるための真摯な外交努力が必要だ。トランプ政権は制裁緩和であれ、戦争状態の公式的終了であれ、韓米軍事訓練の調整であれ、凍結の見返りに何を提供する用意があるかを明確にしなければならない」と指摘したのは意味深長だ。

 事態がここまできたのに、米国は中国が制裁に参加しなかったせいにしており、中国は米国が対話をまともにしなかったせいだと非難している。それと共に米国は中国に石油類の供給中断を、中国は米国に双中断(韓米軍事訓練中断と北朝鮮の核・ミサイル試験中断)を要求している。これでは困る。

 まず米国は北朝鮮との対話のためのハードルを下げなければならない。トランプ政権はこれまでただ一度も積極的に対北朝鮮対話を試みたことがないという指摘に耳を傾けるべきだ。中国はさらに強く北朝鮮に「介入」せよという国際社会の要求に反応すべきだ。今のように米国と中国が互いに責任転嫁している形では何も解決されない。

北朝鮮の朝鮮中央通信が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型発射場面を29日報道した。金正恩労働党委員長は発射前日の28日、「党と祖国のために勇敢に発射せよ!」とミサイル発射を直筆で命令した=平壌/朝鮮中央通信 聯合ニュース
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017/11/30 18:28

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/821511.html 原文: 訳T.W

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