北朝鮮の6回目の核実験と相次ぐミサイル発射で朝鮮半島に緊張が高まる中、中国の一部の大学が北朝鮮学生の入学および奨学金支給を制限していると香港「サウスチャイナ・モーニングポスト」が20日報道した。
北京のある大学の入学処関係者は、自身が属する大学が北朝鮮からの留学生、特に物理および材料科学分野の留学生数を減らしていると、同新聞に伝えた。関係者は政府の指示にともなう措置としながらも、具体的にどの程度の水準の指示かは明らかにしなかった。
今月3日、北朝鮮による核実験の後、中国内の北朝鮮留学生に対する監視強度も高まったという。北京のある大学関係者は「すでに在学中の学生を送りかえす訳には行かないが、彼らが敏感な物質を得られないよう綿密に公安または技術的手段で監視および追跡されている」と伝えた。この関係者は、大学が先月から新入生を受け入れたが、「もし核実験がもう少し早くなされていれば、彼らが入学できたかは分からない」と付け加えた。この関係者は、来年4月から再び始まる新入生募集では、問題を除去するために北朝鮮学生の入学を完全に排除することを希望すると明らかにした。
黒龍江省のハルビン理工大は、新しい政策により北朝鮮の学生たちが奨学金を受けられなくなると、外交経路を通じて抗議を受けたと明らかにした。学校関係者は「中国政府が奨学金を支援した一部の学生たちが支給を拒絶されると強く怒った」として「彼らは中国の北朝鮮大使館に抗議を伝え、大使館の人々が電話をかけてきて、中国が国籍によって差別したのではないかと問い合わせた」と話した。彼は当時は「成績が基準に達しなかった」と答えたが、実際には今月の核実験の後、北朝鮮の学生たちに支援しない政策が出たためだとこの新聞に認めた。
今月7日、中国外交部報道官の定例ブリーフィングでは「中国の一部大学は機械工学などの敏感な分野でも依然として北朝鮮からの留学生を受け入れている」という質問が出ると、耿爽報道官は「どのような状況かよくわからないが、中国は国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁決議を全面的かつ正確、真剣かつ厳格に履行している」と答えた。
中国は2013年から北朝鮮の学生たちを招請し、ハルビン理工大など軍事科学分野の最高水準の教育機関で博士課程を履修させ、全額奨学金を支給してきた。この教育課程は7月に最初の卒業生を輩出した。北朝鮮の学生たちの学業成就は高い評価を受けている。 数学者のハルビン理工大チョンミンハオ教授は「北朝鮮のソ連式教育のおかげで、北朝鮮からの留学生は基本技と知識に忠実だ」として「常に実験室と図書館を行き来して、中国の学生たちよりはるかに熱心に勉強している。1980年代の中国の海外留学生を思い出させる」と話した。
しかし、敏感な技術と研究が北朝鮮に移転されうるという憂慮が広がってきたのも事実だ。北京のある研究者は「(北朝鮮の学生たちを受け入れたことは)岩を大きくして自分の足の甲の上に落としたようなものだ」として「政府の失敗と見る」と話した。
中国内にいる北朝鮮からの留学生数は数千名に達すると推定されるが、正確な数値が公開されたことはない。ある中国の教授は、自身が教えた博士課程の北朝鮮学生たちについて「たいがいは妻と子どもを北朝鮮に置いて来た30代の学生で、家族が人質に取られているため(卒業すれば)帰国するしかない」と話した。