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ホワイトハウス「韓米FTA廃棄議論は当分中断」…4日ぶりになぜ?

登録:2017-09-07 23:45 修正:2017-09-08 08:01
議会に「優先順位が緊急ではない」伝達 
しかし「廃棄構想を完全にたたんだわけではない」 
農産物業界の激しい反発に退いたもよう 
今後の交渉構図に及ぼす影響に注目
産業通商資源部のキム・ヒョンジョン通商交渉本部長と米国貿易代表部のロバート・ライトハイザー代表など韓米の代表団が先月22日、ソウル市中区のロッテホテルで「韓米FTA共同委員会特別会期」を開き、テレビ会議を行っている=産業通商資源部提供/聯合ニュース

 ホワイトハウスが韓米自由貿易協定(FTA)廃棄の議論は当分しないと議会に報告したと伝えられ、4日ぶりに立場を変えた背景と今後の交渉構図の変化に関心が集まっている。

 6日(現地時間)、米「フォックスビジネス」はホワイトハウス関係者が5~6日に議会の一部重鎮議員を対象にした国家安保ブリーフィングで「韓米自由貿易協定の廃棄はもはや緊急な優先順位ではないとの立場を伝達した」と報道した。しかし、同メディアは「トランプ大統領の補佐官が協定廃棄の構想を完全にたたんだとは言っておらず、日程は提示しなかったが廃棄は依然としてオプションだと話した」と議会関係者の話を引用して伝えた。

 これに伴い、今月2日トランプ大統領が「廃棄の有無を来週から議論する」と明らかにして触発された論議は4日ぶりにひとまず水面下に沈んだ。トランプ行政府の態度変化は、政界・産業界など内部から噴出した反対意見のためと分析されている。トランプ大統領の廃棄発言の直後に、300万以上の米国企業を代表するトーマス・ドナヒュー全米商工会議所会頭は直ちに声明を出し「無謀で無責任な廃棄に反対する」と明らかにした。特に全米商工会議所は関税の恩恵を受けている業界に向かって「ホワイトハウス高位通商担当者に電話や書簡で廃棄議論の撤回を要求する緊急行動に出てほしい」と促した。トランプ大統領は協定発効(2012年)後、韓国市場への輸出額が増加した牛肉(増加率82%)、自動車(356%)、航空機(部品)(110%)、サービス(26%)などの業界からの強い反対に直面した。

 加えて米国の牛肉・養豚協会など農畜産物業界が反発の先頭に立ち、トランプ大統領が相当な負担を感じたのではないかという話も出ている。米国の農産物業界は「協定が廃棄されれば韓国と協定をすでに締結したオーストラリア・カナダ・欧州連合(EU)・中国など主要農産物競争国に韓国市場を奪われるだろう」と憂慮を表わした。

 米国の一部州政府も廃棄に反対している。駐米韓国大使館の報告書によれば、全米50州のうち40州で輸出が増え、オハイオ、ミシシッピ、インディアナなど14州では50%以上増加した。その上、北朝鮮核問題で同盟との結束を固めなければならない時期に無責任に協定の廃棄に出たという米政界と世論の批判もホワイトハウスが勘案したと見られる。

 米国側が廃棄議論の中断に転じたことが、両国間の交渉構図にどのような影響を及ぼすかも注目される。表面的には「廃棄は米国にさらに大きな損害」という韓国側の論理が米国産業界と通商当局に効果を発揮したと見ることができる。しかし、貿易赤字を前面に掲げて協定を脅かしてきた米国側の主張が無力化されたわけではない。むしろ米通商当局は、今回の内部論議により、今後韓国を相手に勝ち取ることと守ることとを明確に把握することになったと分析される。トランプが韓国側の反応を推しはかろうとする老獪な計算で廃棄カードを投じた可能性も提起される。

 未だ廃棄カードが突出する余地は残っている。これにより、韓国の通商当局が今後多少萎縮した態度で交渉に臨まざるをえなくなったという評価もある。通商当局は「協定の効果から共同で分析・評価してみよう」という韓国側の提案に対する米国側の返事を待っている。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/810098.html 韓国語原文入力:2017-09-07 17:57
訳J.S(1739字)

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