「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう、尖閣諸島、竹島(韓国名・独島)、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国・韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ、安保法制国会通過よかったです」
2015年10月11日。白い上着とオレンジ色の半ズボンを履いた4人の子どもが演壇に出て右手を上げて宣誓を始めた。この日は大阪府豊中市の国有地を安値で買い入れた特恵の疑いを受けている森友学園が運営する「塚本幼稚園」の秋の運動会の日だった。幼稚園側は韓国と中国が「嘘つきの国」という露骨な偏見を助長する内容を子どもたちの口を借りて暗唱させた。
その後画面では、この学校法人理事長であり日本最大の右翼団体「日本会議」の大阪地域の役員である籠池泰典氏が「長州(現山口県・安倍晋三首相の縁故地)の武士たちよ、今から幕府を倒すのじゃ」と叫ぶと、子どもたちは刀を差して走って行ったり、運動場で腕立て伏せをするなど軍隊の体罰に近い姿勢を演出している姿を確認できた。
先月27日にこの動画が公開されると、日本列島は大騒ぎになった。この幼稚園が子どもたちに昔の軍国主義時代の象徴である「教育勅語」を暗誦させるなど、常識外れたの教育をしていることは知られていたが、今回の動画を通じていまわしい「右翼教育」を幼稚園の子どもたちにどう教えたかが一つひとつ明らかになったからだ。
特に籠池理事長が子どもたちに安倍首相が2015年9月に強行可決させた「安保法制」に対してまで発言させたことは、政治的偏向教育を禁止した教育基本法違反という指摘が相次いでいる。市民たちも「このような教育を子どものときから受ければ危険な右翼になる」など懸念の混じった反応を示している。
28日の参議院予算委員会では、安倍首相とこの学校法人の関係を追及する野党の攻勢が再度続いた。岡田克也議員(民進党)など野党議員らが問題視したのは、安倍首相の妻の昭恵氏がこの学校の名誉校長を務めたという点と、この学校が発行した寄付用紙に「安倍晋三記念小学校」という表現が使われた点などだった。安倍首相は「私が(名前を書いてもいいと)了承したならば責任を取らなければならないが、私は断った」という苦しい釈明を出した。安倍首相は先月17日に、この学校の教育哲学について「先生の教育に対する意欲が高いと聞いた」と好感を示したことがある。
窮地に追い込まれた安倍首相は27日夜、内閣を担当する記者団を高級レストランに呼び「非公式の懇談会」を開いた。これについては安倍首相が直接記者たちを呼んで「報道自制」を求めたのではないかと噂されている。