中国政府は、北京を訪問中の共に民主党議員らにTHAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国配備に対する反対の立場を再確認したが、“速度調節”を要求するなど、態度に微妙な変化を見せており、その意味に注目が集まっている。
王毅・中国外交部長は4日、共に民主党議員7人などの訪中団に会って、「THAAD配備の加速化プロセスを凍結すれば、相互理解の立場から交流を拡大していくこともできる」と話したという。中国政府のTHAAD反対の立場が変わったとまでは言えないが、韓国政府が直接言及したことのない「加速化」という概念を持ち出したのは、新しいことだ。
その意味を分析してみると、まず、THAAD配備の速度を遅らせることで、韓国の次期政権で政策に変化が起きることを、中国が期待しているものと理解できる。朴槿恵(パク・クネ)政権の任期中にTHAAD配備が行われる“最悪の状況”をひとまず阻止し、現在可能性が高いとされる「早期大統領選挙→野党に政権交代」が実現すれば、韓国の新政権と交渉した方がよいという戦略的計算によるものと見られる。
韓国が先頭に立ってTHAAD配備を急ぐことが招きうる副作用に対する警告でもある。同日、王部長との面談に出席したソン・ヨンギル議員は「韓米が合意したことを一方的に取り消せないことは中国も分かっているが、配備の過程で中国の安保利益の侵害という懸念を十分に解消する処置を期待しているという意味で受け止めた」と話した。中国の反発も時間をかけて協議すれば、妥協が可能だという見方もある。 逆に、今年中にTHAAD配備が強行されれば、秋に予定された第19回党大会および指導部の交代を控え、対内外の安定を強調する中国の神経を逆なでする可能性もある。
第三に、「加速化の中断」という韓国の“誠意”を前提に「交流拡大」が可能だというっメッセージを送ったものと見られる。 遼寧社会科学院朝鮮半島研究センターの呂超主任は5日、中国の「グローバルタイムズ」に「韓国が制裁だと感じているのは実質的なものだが、政府が主導しているわけではない。中国人民の自発的な行動」だと主張した。「THAAD報復」とされる韓国産の文化コンテンツおよび(韓国への)旅行制限などの動きは、政府が主導しているわけではないため、韓国が先に動かなければならないということだ。
しかし、昨年の弾劾政局の中でも国防部が土地の鑑定評価に乗り出すなど、「予定通りTHAAD配備を進行する」と宣言している朴槿恵(パク・クネ)政権と軍が、“手続きの中断”を意味する中国の「加速化プロセスの凍結」に肯定的態度を取る可能性は低いとみられる。 一方、陣海・中国外交部アジア局副局長が昨年末、韓国を訪問し、企業関係者らにTHAAD配備の際には断交に匹敵する処置を覚悟すべき」など脅迫ともとれる圧迫を加えたことに対し、キム・ヒョンジン外交部次官補は5日午前、邱国洪・在韓中国大使を外交部庁舍に呼び、遺憾の意を伝えたことが分かった。
韓国語原文入力:2017-01-05 17:06