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韓中衝突を静めようとする「議員外交」に、保守「屈辱」「売国」と集中非難

登録:2017-01-05 23:48 修正:2017-01-06 07:23
セヌリ党・保守新党、声をそろえて非難 
「国家安保問題を金銭と取引するのか」 
 
民主党、国益合致を打ち出して反論 
「駐中大使がやるべきことを代わりに行ったのに…」 
 
専門家、保守勢力の戦略を取り上げ 
「早期大統領選に向けた安保フレームの意図」
ソン・ヨンギル議員(右から2人目)など共に民主党の議員らが5日、北京の中国国際問題研究院を訪問し朝鮮半島専門家らとTHAAD解決策について議論している。中国国際問題研究院は中国外交部直属の機関で中国の外交政策の根幹を作る団体だ=北京/聯合ニュース

 共に民主党のソン・ヨンギル議員など議員7人が中国を訪問し、王毅外交部長など中国政府の高官と会い、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる韓中間の衝突の解決策を論議したことについて、時ならぬ「事大・屈辱外交」の論争が起こっている。朝鮮日報が5日付1・3面にわたり、ソン議員などの訪中を「中国の『離間の計』に巻き込まれた第1野党」と非難すると、セヌリ党と改革保守新党(仮称)は声をそろえて「屈辱外交」「売国行為」と猛非難に出た。民主党は「政府ができなかったことを野党が行っている」と反論し、当事者であるソン議員は今回の訪中を「屈辱外交」と非難したユ・スンミン改革保守新党議員に「公開討論」を提案した。

 昨年8月、民主党議員8人のTHAAD関連の訪中「議員外交」を大統領府が「中国側の立場を強化し韓国の内部分裂を深める契機になることを憂慮している」と公開非難し論争が起きたのに続き、今回も野党のTHAAD関連の訪中外交が再び政界の論争の対象になった。

 セヌリ党のチョン・ウテク院内代表はこの日午前、主要党役員会議で「民主党議員らが貿易報復を解除してほしいとお願いしたというが、これは事大主義どころか、一国の国家安保の問題を金銭と取引するとんでもない屈辱外交」だと述べた。改革保守新党のユ・スンミン議員は、「屈辱的な外交を行ってきたこと自体だけでも、このような勢力に国家安保を任せるのは危険千万なこと」と主張した。「朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシルゲート」をめぐっては互いを仇のようにして分かれた両党が、久々に声を合わせた。

 当事者のソン・ヨンギル議員は「国益のために努力する方法論上の違いを敵対視し売国と非難するのは、大統領選候補として議論されている政治家としては低レベルで未成熟な姿」だとし、「結局、ユ議員は自分のルーツが朴槿惠だという限界を捨てられないようで残念だ。後ろに隠れて非難せずに、正々堂々と公開討論することを提案する」と反論した。

 ウ・サンホ民主党院内代表は党政策調整会議で「キム・チャンス駐中大使が会うことのできない王毅部長に野党が代わりに会い、(大使が)やるべきことを代わりに行っているのに、よくやったと言うどころか事大主義などと言うのか」とし、「外交は政府レベルの公式外交ラインと議員外交ライン、民間レベルラインなどチャンネルが多いほど国益に役立つ」と反論した。

 専門家らも「外交は生き物のように柔軟でなければならないが、外交の懸案について政府方針にのみ従えというのは独裁政府でのみありうること」とし、「議員外交は韓国社会の多様な声を伝え、結果的に政府の外交の立場を強める」と話した。

 保守勢力が野党のTHAAD関連議員外交を「屈辱」「事大」「売国」という刺激的な用語を動員して非難することについて、匿名を要求した中国専門家は「早期の大統領選挙が予想される状況で、安保フレームを作動させようとする戦略的意図によるもの」だと話した。この専門家は、チョン・ドンヨン、ナ・ギョンウォン、キム・ブギョム議員ら与野党の重鎮議員ら(昨年11月)とセヌリ党議員ら(12月)が代表団を構成して米国を訪問し、ドナルド・トランプ大統領当選者側と接触した際、「事大外交」の議論が起きなかった事実を想起させた。

 ソン議員などの訪中が「事大外交」論争に包まれたが、今月中旬には与野党の重鎮議員らが一緒に中国を訪問し「超党的な議員外交」に乗り出すと伝えられた。

キム・ジウン、イ・セヨン、キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/777603.html 韓国語原文入力:2017-01-05 22:15
訳M.C(1853字)

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