天皇の生前退位の意思表明が安倍政権の改憲の動きにどのような影響を与えるか関心が集まっている。
明仁天皇は8日、ビデオメッセージを通じて生前退位の意思を遠回しに表明した。天皇は憲法改正問題については特に言及しなかったが、安倍政権が先月の参議院選の勝利で改憲のスピードを速めている時点で出されたメッセージということから、さまざまな解釈が出ている。
明仁天皇は約11分のビデオメッセージの中で「象徴」という単語を8回使用した。宮内庁のホームページに掲載したメッセージ全文のタイトルも「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」だ。象徴という単語を強調した理由は、明仁天皇の平和憲法に対する愛着のためとみられる。天皇の象徴としての地位は、第2次大戦敗戦以前の日本憲法と現行憲法が区別される最も大きな違いのうちの一つだ。
日本を戦争の惨禍に導いた「大日本帝国憲法」(1889年)第1条は「大日本帝国は万世一系の天皇これを統治す」で始まる。これを根拠に天皇主権論を主張する人々がいた。また、かつての日本憲法は第11条で「天皇は陸海軍を統帥す」という条項を挿入した。1930年に日本政府がロンドン軍縮会議において海軍が保有できる艦船の数を制限する条約を結ぶと、日本の右翼は憲法に保障された天皇の統帥権を「政府が侵犯した」と激しく反対した。その後軍部と右翼は、政府が軍の動きに介入しようとすると、そのような試みは「統帥権干犯」(天皇の軍統帥権を侵害した者)に当たるという論理で遮った。その後、日本は日中戦争と太平洋戦争の惨禍に巻き込まれていった。
戦後の1946年に制定された現行の「日本国憲法」はこれに対する反省をもとに、第1条を「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とした。主権は国民にあるという点を明確にし、天皇は日本の象徴的な役割にとどまるとした。天皇が今回のビデオメッセージで象徴という言葉を何度も使用したのは、安倍政権の改憲論に対する牽制ではないかという憶測が出ているのはこのような理由からだ。安倍首相が改憲論議の基礎とする2014年の自民党憲法改正草案では、天皇を「日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴」と変えているが、「元首」がどのような意味なのかは明確ではない。
天皇のビデオメッセージの核心である生前退位の問題は憲法を改定せず法律改定だけで解決できるが、結局天皇の地位問題に関連し、憲法改定問題にまで拡大する可能性がある。朝日新聞は9日、匿名の政府関係者が「生前退位問題と関連し、憲法が第1章で定めた象徴天皇制に対する議論が避けられない。いずれにせよ憲法問題になる」と述べたと報道した。
譲位問題のために安倍首相がめざす任期内の改憲が難しくなるという予測もある。毎日新聞は、安倍首相が先月の参議院選挙に勝利した後、議会憲法審査会で具体的な改憲議論をしようとしているのに対し、天皇の退位の意思表明をきっかけに憲法審査会で天皇制に対する議論が想定される可能性もあると伝えた。そうなれば重いテーマである天皇制問題によって、憲法改定の議論自体が進まない可能性があると同紙は伝えた。
しかし、改憲賛成勢力も天皇譲位問題を憲法改定につなげようと主張する。極右の産経新聞は「天皇の考えを真摯に受け止めるならば憲法改正も有力な選択肢」と報道した。
韓国語原文入力:2016-08-09 16:51