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米民主党、サンダース氏の主張受け入れ「生活賃金」導入

登録:2016-07-03 22:59 修正:2016-07-04 06:51
政治綱領草案にサンダース氏の主張を反映 
「歴史上最も進歩的」評価
6月23日、米民主党の大統領候補指名争いでバーニー・サンダース候補が、ニューヨーク州で支持者を前に演説している=ニューヨーク/AP・連合ニュース

 バーニー・サンダース上院議員は、米民主党大統領候補指名争いでヒラリー・クリントン前国務長官に敗れたが、「生活賃金」の概念などの核心構想の相当部分を、党の政治綱領政策に反映させることに成功した。所得不平等の解消とウォール街の改革に対する民主党を指示する有権者の熱望を背負った「サンダースの力」を見せることで、歴史上最も進歩的な民主党綱領と評価されている。

 民主党が1日(現地時間)発表した党の政治綱領政策草案によれば、「所得引き上げと中間層のための経済的保障回復」という項目で、「現行の最低賃金は事実上『飢餓賃金』水準であり、『生活賃金』(living wage)水準まで引き上げなければならないと考える」と明示した。「生活賃金」とは、労働者の住居費、教育費、文化費まで総合的に考慮して実質的生活が可能な水準まで賃金を保障しようという進歩的制度で、韓国の一部地方自治体でもこれを施行している。

 草案はそのために「米国人は時間当り最低15ドルの賃金を受け取り、労組を結成したり加入する権利を持つ」と指摘した。これはサンダース氏が指名争いの遊説過程で繰り返し主張した内容だ。米連邦の現在の最低賃金は7.25ドルだ。クリントン氏も遊説過程で最低賃金を12ドルまで引き上げることに賛成したことがある。「生活賃金」という概念そのものと、そのために現行最低賃金を2倍以上引き上げることを党の政治綱領政策に反映したこと自体が、企業中心の文化を持っている米国では異例のことだ。

 草案はまた、「過去40年間の中間層衰退の主な理由は、より良い賃金と福祉のための労働者の団体交渉権が全面的に攻撃を受けたため」と診断した。草案はこれを基に「労働者が強い時、米国は強い」として「民主党は労働者が公開あるいは私的に彼らの権利を行使するために労組を組織し加入することを一層容易にする」と明らかにした。これもまた「民主的社会主義者」を自任したサンダース氏の色彩が濃厚ににじみ出た部分と言える。

 いわゆるウォール街改革と関連しても、サンダース氏の立場が相当部分盛り込まれた。草案は「一般人を保護し、金融の安定を守る必要がある時、金融機関の規模を小さくしたり分離できる権限を規制機関に付与し、当局の既存の規模を現状より拡大し活用することに躊躇しない」と明らかにした。特に、草案は「ウォール街と連邦政府間の『回転ドア人事』を厳重に取り締まる」と明らかにし、金融機関の重役の地域連邦準備銀行理事兼職も許容しないと指摘した。これはウォール街の人々が金融当局の主要政策担当者を務め、再びウォール街に戻る慣行が蔓延し、金融政策が大型金融会社などウォール街に有利な方式で決定されているという不満と指摘に従ったものだ。この他、死刑制度廃止、黒人やヒスパニックなど少数人種に対する差別的な法執行の是正も盛り込まれた。

 今回の草案は、政治綱領政策委員会の議論を経て、今月25~28日に開かれるフィラデルフィア全党大会で追認される予定だ。政治綱領政策は大統領候補にその実行を要求する拘束力があるわけではないが、他党候補との本戦での競争で「公約のように」守ることが不文律となっている。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/750679.html 韓国語原文入力:2016-07-03 18:52
訳J.S(1563字)

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