「昨日の投票は、グローバル化によってもたらさている変化や諸課題を戒めるものだと考えます」
バラク・オバマ米国大統領は24日(現地時間)、英国のブレグジット国民投票後、公式の席上で初めて英国のヨーロッパ連合離脱の決定がグローバル化の逆流現象であることを認めた。オバマ大統領はこの日、スタンフォード大学で開かれた世界企業家首脳会議で、グローバル化は恩恵も与えたが「憂慮と恐怖を触発している」と認めた。
オバマ大統領が指摘した「グローバル化がもたらした相次ぐ変化と挑戦」は、2008年の金融危機以後に全世界で政治的現象として表出している。既成政治勢力と体制に挑戦する左右を網羅した非主流、アウトサイダー勢力の浮上だ。米国では共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のバーニー・サンダース氏、ギリシャでは負債危機以後に執権した急進左派連合(SYRIZA)、イタリアでは最近ローマ市長選挙で勝利した五つ星運動(M5S)、スペインでは急進左派のポデモス氏、そしてヨーロッパ各国で勢力を拡大する極右または右派民族主義政党である英国独立党、フランスの国民戦線、オランダの自由党、オーストリアの自由党、ノルウェーの進歩党、フィンランドの真正フィン人党、デンマークのデンマーク国民党などだ。
ポピュリズムと称されるこれらの勢力と政党は、極左から極右まで理念的スペクトルは多様だが、共通点が一つある。グローバル化とその現象に対する反対だ。彼らは現在経済的不平等が拡大し職業安定性が破壊されているのはグローバル化の結果だと主張する。
ブレグジット投票はこのことをよく示す。ブレグジット国民投票での離脱陣営は、極右民族主義指向の英国独立党、執権保守党の非主流右派、労働党の非主流左派、新自由主義に反対する場外左派勢力などで、左右を網羅した連合で構成された。またその動力は、ヨーロッパ連合からの主権回復と移民の制限だった。右派陣営は移民流入に、左派陣営は脱規制の新自由主義政策に焦点を置いたが、その根源は現在英国の中下流層が体験している経済的不平等と職業不安定性だ。英国で相対的に所得が高く移民の流入が少ないスコットランドが、残留側に投票したことはその傍証でもある。
米国の最上位層1%の平均所得は、1980年前後の30万ドルから金融危機が勃発した2008年には約100万ドルに急増した。反面、中間層は約5万ドルから6万ドル、低所得層は変わらず2万ドル前後に留まった。
スウェーデンの経済学者イェスペル・ロイネ氏とダニエル・ヴァルデンストロム氏の「所得と富の分配の長期的傾向」などの研究によれば、20世紀以後、米国や英国など西側先進国の最上位1%階層が国内総生産に占める比重は、1930年まで増加して下落傾向に反転した後、再び1980年を起点に劇的に上昇したことが明らかになる。米国の場合、1930年に20%に達し、1980年には5%水準まで落ちたが、その後再び上昇して2005年以後17%を超えている。
最上位1%の所得比重が高まり始めた1980年前後は、英国のマーガレット・サッチャーと米国のロナルド・レーガン政権が新自由主義政策を推進し「2次グローバル化」が始まった年だ. 1980年はサッチャー政権の主導で英国が躊躇していたヨーロッパ統合に積極的に参加し始めた。
米国の保守シンクタンク、米企業研究所の外交国防政策研究分野の主任副所長ダニエル・ブレッカーは「ブレグジットは1933年の全面的再現になりうる」と指摘した。1933年はドイツでナチの勢力拡大など「分裂した政治、怒り、危うい決定、孤立主義」などで第2次世界大戦へ進む曲がり角だった。
これは世界史が体験した20世紀初めの「第1次グローバル化」とその逆流が再現される可能性があることを指摘している。世界は19世紀末以後、自由放任主義に推された第1次グローバル化過程で深刻な所得不平等を引き起こし、第1次世界大戦と1930年代の大恐慌を体験した。これはドイツなどで国粋主義的民族主義に立ったナチ政権の誕生を生み、第2次大戦につながった。
ヨーロッパ連合の本部があるブリュッセルに拠点を置く欧州国際政治経済研究所(ECIPE)のフレドリック・エリクソン所長は、米紙ロサンゼルスタイムズに「グローバル化の時代は確実に終わろうとしている」として「ブレグジット国民投票とグローバル化に対する反乱で真に驚くべき点は、これまで開放社会で途方もない恩恵を受けたベビーブーム世代によって起きたことだ」と指摘した。現在、所得減少と失業に苦しむ老年層と低学歴層が第2次グローバル化以前の相対的な平等性を懐古しているということだ。
今、世界は第1次グローバル化の逆流である第2次大戦前夜をほうふつさせるほどの第2次グローバル化の逆流噴出を見ている。