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さらに露骨になる安倍首相の改憲への野心

登録:2016-03-02 23:29 修正:2016-03-03 06:20
安倍晋三首相が1日、衆議院予算委員会に出席し質問に答えている。日本の政界では安倍首相が今年衆議院を解散し改憲プロジェクトを本格化しようとしているとの観測が出ている=東京/共同連合ニュース

来年予定の消費税率引き上げ保留し 
衆参ダブル選挙カードも 
2年前にも消費税率引き上げ延期 
衆議院解散で再選挙を行えば 
野党が安倍独走を牽制できるか不透明

 今夏の参議院選挙が近づく中で、安倍晋三・日本首相の念願である改憲プロジェクトが本格的に始動する雰囲気だ。

 改憲の成否を分ける要因は二つだ。 第一は来年4月に予定された消費税率引き上げの延期、第二は改憲の定足数である衆参両院で「3分の2以上」の議席の確保だ。順調に進めば、安倍首相は日本を正式な軍隊を保有する“普通の国家”に変えられるようになる。

 安倍首相は今月1日、衆議院予算委員会で今年度の予算案を通過させた後、記者団と会い「5月(日本の三重県伊勢志摩で開く予定の)主要7カ国(G7)首脳会議で、世界経済が主なテーマになる展望だ。 議長国としてこれをどのように分析しているかを示す必要がある」と述べ、経済専門家の意見集約のための「国際金融経済分析会合」を発足させる計画を明らかにした。 この会合は安倍首相、閣僚、日銀の黒田東彦総裁らで構成され、世界経済の展望に対する意見を聞くことになる。

 改憲とは全く関係のないこのニュースに日本の政界は敏感に反応した。 安倍首相がこの会議の結論を名分として、来年4月に予定された消費税率の引き上げ(8%→10%)を延期する可能性が大きいためだ。 増税の保留は結局、衆議院の解散につながると日本のメディアは見ている。

 安倍首相は2014年にもこれと似たことを行った経緯がある。2014年4月に1回目の消費税率引き上げ(5%→8%)を断行する前、50人余りで構成された経済専門家たちの意見を聴いて決断を下した。 しかし、増税の否定的影響が予想より大きく、2014年12月には消費税率の引き上げを延期し「再信任を問う」という理由で衆議院を解散し再選挙を行った。

 このような前例のために日本のマスコミは、「国際金融経済分析会合」発足の便りに関して「野党では『消費税増税延期の布石ではないか』という見解を示している」(日本経済新聞)、「自民党内では『消費税増税を先送りして衆議院解散をする布石ではないか』という見方がある」(朝日新聞)として動揺する政界の反応を紹介した。 与野双方が今回の動きを衆議院解散の信号弾と見ているわけだ。

 安倍首相が衆議院解散を決断することになれば、7月に行われる参議院選挙は衆参ダブル選挙になる。 この場合、選挙の争点は安倍首相本人と母方の祖父である岸信介元首相の“念願”の改憲となる展望だ。

 安倍首相は今年になって改憲に対する自身の考えをますます明確にしている。 1月4日の年頭会見で「改憲については国民的な議論を深めて行く」という一般的な見解を明らかにするにとどまっていた。 しかし先月20日には「(現在の憲法には)自衛隊の存在自体(存在の根拠)が明記されていない。 これはおかしなこと」と一歩踏み出した。 今月1日、衆議院予算委員会では「国民の生命を守るために必要な国際法上の権利は行使しなければならないという考えが(2012年に発表された)自民党(改憲)草案に含まれている」と明らかにした。 安倍首相が昨年9月の安保関連法制の制改定を通じて確保した“限定的”な集団的自衛権を、同盟国と共に第3国を攻撃できる“一般的”集団的自衛権に拡張する意思を明らかにした発言と見られる。

 これに対抗して日本の野党勢力は「安保法制廃止」を共通目標に掲げ、野党圏候補の単一化を推進しているものの、強力な安倍政権の独走をどこまで牽制できるかは不透明だ。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/733035.html 韓国語原文入力:2016-03-02 21:11
訳J.S(1734字)

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