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日本の法的責任明示は不可欠 「佐々江案」より後退すれば韓国世論の反発必至

登録:2015-12-28 02:01 修正:2015-12-28 05:50
従軍慰安婦問題の「創意的な解決策」とは何か
石兼公博・日本外務省アジア大洋州局長が27日午後、イ・サンドク外交部北東アジア局長と日本軍慰安婦問題解決のための第12回韓日局長級協議を終えた後、ソウル世宗路の外交部庁舎を後にしている=イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓日両国が日本軍慰安婦被害者の問題で「創意的な解決策」を模索していることが知られ、両国政府に被害者が納得できる方法を見つけられるか注目される。

韓日共同基金の設立? 

基金に日本政府の予算投入 
日本政府の責任を認める「解釈」に余地 
安倍首相のおわびの手紙を届けることも推進 
「2012年の佐々江案より後退」 

米国を証人に? 

米国が合意案を保証する方案を検討 
現実化した場合「外交従属」の批判の可能性も

 まず、「1965年の請求権協定で軍慰安婦問題は解決された」という日本政府の基本的な立場には大きな変化が見られない可能性が高い。日本政府としては、ここで退けば他の補償問題が相次ぐことになりかねないからだ。

 しかし、迂回的に法的責任を認めることはできる。岸田文雄・日本外相は28日の韓日外相会談で、慰安婦被害者支援のために韓日が共同設立する基金をユン・ビョンセ外交部長官に提案する予定だと、朝日新聞が27日付で報じた。同紙は、日本が推進する基金に韓国を巻き込もうとする目的について、「韓国政府を関与させることで慰安婦問題の最終妥結を担保する狙いがある」と説明した。

 日本政府の予算が投入されている被害者支援基金の設立は、見方によっては、日本政府の責任を認めることにもなり得る措置だ。これに加え安倍晋三首相が「責任とおわび」を言及する手紙を被害者に送れば、責任を認めたと解釈できる余地もさらに大きくなる。

 しかし、これでは法的責任を認めたというより“認めたと解釈できる”レベルに留まる。韓国政府がこれをもとに被害者を説得できるほど、信頼を築いているのかも疑わしい。韓国挺身隊問題対策協議会は26日、このような基金の設立を、1995年に発足した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)と比較して、「あまり変わらない。アジア女性基金は、被害者の反対ですでに失敗した日本政府の政策だった」と釘を刺した。

 さらに、韓国政府は同じレベルの日本側の提案を「十分に法的責任を認めたものとは言い難い」という理由で断っている。 2012年3月、当時の佐々江賢一郎・外務省事務次官は、(1)日本の首相が韓国大統領に謝罪し、(2)駐韓日本大使が慰安婦を訪問して謝罪し、(3)日本政府の予算で補償するという「佐々江案」を韓国側に提案したが、国内世論の説得が難しいと判断した李明博(イ・ミョンバク)政権はこれを受け入れなかった。「佐々江案より譲歩した」と指摘されれば、政府は困惑する状況に追い込まれることになる。

 ただし、韓日が軍慰安婦被害者だけでなく、強制徴用被害者など日本植民地時代のすべての被害を包括的に取り上げる方法で基金を共同運用する場合、日本側が事実上の責任を認め、被害者に対する賠・補償において、一歩前進したものと評価できる。

 日本経済新聞は合意案が出されれば、第3者である米国政府が声明を出し、最終的に妥結を確保する方策を検討しており、日本側がそのために米国側に声明を発表する準備を要請したと報じた。米国を最終妥結の“証人”にしようとする日本側の意図がうかがえる動きだが、このような内容が現実となれば、韓国は外交の失敗と米国への外交従属という批判を免れなくなるものと見られる。韓日両国の懸案である慰安婦問題で、日本側が明確な責任を認めていないにも関わらず、米国に事実上の「追認」を受ける形になるからだ。

キム・ウェヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-27 21:26

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/723700.html 訳H.J

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