本文に移動

[ニュース分析]急ぐ韓日...慰安婦問題で「創意的な解決策」を模索

登録:2015-12-28 00:14 修正:2015-12-29 10:33
28日に韓日外相会談 
日本は法的責任明示せず「おわび」など言及か 
“中間地点”で妥結の可能性も 
被害者ハルモニたちの反発が予想される
27日午後、ソウルの駐韓日本大使館前に建てらた平和碑(少女像)を訪れた慶尚北道の小学校に通うナム・スンヒョン君が像を見つめている。慰安婦問題解決のための韓日外相会談を控え、日本のメディアは南山への少女像の移転などを報じている=イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権と安倍晋三政権が28日、ソウルで開かれるユン・ビョンセ外交部長官と岸田文雄外務大臣との外相会談で、日本軍“慰安婦”被害者問題と関連した日本政府の法的責任を認めると共に、被害者の名誉回復、賠償・補償問題など外交的修司を持ち出した「創意的解決策」を模索することで、意見の一致を見たことが分かった。日本政府が予算を投入して1億円規模の被害者支援基金を設立し、安倍晋三首相が書いた「おわびの手紙」を、駐韓日本大使が被害者ハルモニ(お婆さん)たちを訪問して渡すと共に謝罪する案などが、主な内容になるものと見られる。これは、被害者ハルモ二と韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の要求にはるかに及ばないもので、市民社会からの反発などの後遺症が予想される。

 先月2日、朴槿恵大統領と安倍首相が首脳会談で「早期に慰安婦被害者の問題を妥結するための協議を加速させるように」と指示した後、様々な公開・非公開協議を通じて関連の議論が「最終妥結」に向けて速度を上げている雰囲気だ。 24日、安倍首相が岸田外相の年内訪韓を指示したことをきっかけに、外相会談に先立ち27日にソウルで開かれた第12回韓日慰安婦問題関連局長級協議も、その延長線上にある。

 ただし、両国政府が28日、外相会談で最終合意を発表する可能性よりも、重要な争点と関連して双方の見解の差を縮める創意的な解決策を模索しているというレベルで協議の結果を発表する可能性が、相対的に高いものと見られる。

 両国政府はこれまで、慰安婦被害者問題の解決策を模索する過程で大きく分けて2つの争点を中心に外交的な解決策を求めてきた。まず、日本政府が法的責任を認める問題だ。第二に、被害者の名誉回復と傷を癒す措置をどのように履行していくかだ。また、駐韓日本大使館前の平和碑(別名「少女像」)の移転を求める日本側の要求をどのように処理するのかも協議してきたことが分かった。

 日本政府の法的責任を認める問題はさらに2つの争点に分けられる。第一は、戦時における日本の「慰安所」の設置・運営が国際法に反するかどうかだ。国際社会は、すでにラディカ・クマラスワミ国連人権理事会特別報告官の報告などを通じて「日本軍慰安所は国際法に違反した戦時性奴隷制」との見方を重ねて明らかにした。ところが、韓日両国政府の間では、これまでの協議で、互いに触れない方法でこの問題を避けて通ることが、暗黙の了解になってきたと伝えられた。これは「日本軍“慰安婦”制度は、国際法に違反した重大な人権侵害であるという事実と責任を、日本政府が認めなければならない」という被害者ハルモニと挺対協などの要求を無視したものであり、議論が避けられない。

 第二に、1965年の韓日協定に慰安婦被害者問題が含まれているかどうかだ。日本政府は韓日協定で「植民地支配のすべての法的責任が終結した」との立場を取っているのに対して、韓国政府はそうではないという姿勢だ。両国はこの問題と関連して、日本政府の法的責任は明示しない代わり、「責任を痛感、おわび」などの言及と共に、日本政府が予算を投入して、被害者支援基金を設立する案で意見の一致をみたことが分かった。いわゆる「グレーゾーン解決策」だが、朴槿恵政権がこれに合意する場合、被害者ハルモニたちが強く反発する可能性が高い。イ・ウォンドク国民大学日本研究所長は「ここまで来たのを見ると(日本側の提案を受け入れることを)大統領府が決心したようだ」とし、「(国内世論の)逆風が激しくなれば(大統領府が)撤回する可能性もある」と指摘した。

 被害者の名誉回復と傷を癒すための措置をいかに履行していくのかをめぐっても、両国政府は外交的な修司を使った「創意的な解決策」を模索してきたと伝えられた。日本政府の予算が投入された基金の設立と安倍首相の「おわびの手紙」が重要な内容だ。おわびの手紙の表現と程度によるかもしれないが、今まで日本政府の姿勢からして、被害者ハルモニたちがすぐに受け入れる可能性は非常に低い。

 少女像と呼ばれる日本大使館前の「平和碑」の撤去・移転を求める日本側の要求は、28日の外相会談の結果発表には含まれない見込みだ。(少女像の撤去・移転が)基本的には韓国政府の権限で行われるようなものではないからだ。しかし、日本政府はこれまでの交渉過程で少女像の移転を粘り強く要求しており、韓国政府は「政府の権限の及ばない事柄」という前提をつけて「被害者と国民が納得できる解決策が出たら、この問題は自然に解決されるだろう」という態度で対応してきたことが分かった。両国政府の合意が行われれば、韓国政府が市民社会に対する“説得”に乗り出す余地を残している。しかし、少女像の撤去・移転は国内で“屈辱的な譲歩”として受け止められるのが必至だ。この問題は、両国政府の関連交渉を揺るがす台風の目になる可能性が高い。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-27 21:28

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/723701.html 訳H.J

関連記事