「『安倍は生意気だ」と私を殴ろうとする不良がいる。すると麻生(麻生太郎財務相)という友だちが『おれはケンカが強いから守ってやる』と言って一緒に家に帰ってくれた。そこに3人くらいの不良が出てきて、前を歩いていた麻生さんに殴りかかった。3対1だから私も麻生さんと一緒に対応する。これが今回日本が行使しようとしている集団的自衛権だ」
そんなに焦っているのか。安倍晋三日本首相が日本国民の大多数が反対している集団的自衛権の行使に対する国民の理解を高めるため挙げた事例が、改めて日本の政界で問題にされている。
安倍首相は7日、自民党のインターネット放送である「カフェスタ特番」に出演して、集団的自衛権の広報に乗り出した。 安倍首相が推進している集団的自衛権に関して「説明が足りない」という世論が依然として80%を超える状況が続いている中で、自民党が持ち出した苦肉の策だった。 安倍首相はこの日、「私の友だちに菅さん(菅義偉官房長官)という人がいる。 彼の家に強盗が入って、「安倍さん、家に助けに来て」という電話がきた。 しかし、日本は憲法9条の制約があるため菅さんを助けることは不可能だ。 しかし、自分を助けるために活動している麻生さんを助けることは可能だ」と話した。
これに対して野党民主党は「深刻な安保懸案を過度に軽く単純な例えで説明した」と批判した。民主党の辻元清美議員は8日、安保法制を審議するため設置された衆議院特別委員会で「国民もこの問題について熱心に勉強している。菅君、麻生君のような(軽い)例を挙げるのは止めて欲しい」と厳しく忠告した。 実際の国際政治は複雑で、日本が守ろうとする同盟国が先に他国に先制攻撃をして反撃に遭う場合もありえるためだ。
集団的自衛権については日本の草の根民主主義を象徴する地方議会の反対決議が続いている。 朝日新聞は9日、集団的自衛権の行使を骨格とした安保法案に対し国会や政府に意見書を出した地方自治体のうち、「反対」は144議会、「慎重」は181議会、「賛成」は6議会に過ぎないと報道した。 それでも安倍政権は15日の衆議院特別委員会(韓国の常任委に相当)で法案通過を強行し、16日以後に衆議院本会議を通過させる方針を固めている。 集団的自衛権を巡る日本国内の葛藤が分岐点にさしかかっている局面だ。