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[現地ルポ]沖縄知事選で革新と保守が力を合わせ「米軍基地反対」

登録:2014-11-17 00:41 修正:2014-11-17 06:36
11月5日、日本 沖縄県宜野湾市所在の在日米軍普天間飛行場に垂直離着陸機オスプレイ(MV-22)が並んでいる。米国と日本は沖縄県民の反対を無視して普天間飛行場を辺野古沿岸に移転し新たに米軍基地を建設しようとしている。 沖縄/キム・ポンギュ記者//ハンギョレ新聞社

「ヨシ!タケシ!」

 16日午後8時。 沖縄の中心都市那覇を貫通する壺川沿いにある翁長雄志沖縄県知事候補(67)の選挙本部は、割れんばかりの歓声に包まれた。投票が終った後、日本の放送局が出口調査から翁長候補の勝利を宣言した。

 感激した面持ちの翁長候補が席から立って支持者に挨拶をすると、照屋寛徳議員(社民党)など、沖縄を代表する政治家たちが彼の肩を叩きながら涙を流した。地方紙『沖縄タイムズ』と『琉球新報』は号外を出し那覇市内で配布した。

 沖縄の人々にとり、この日の選挙は単純な一回の知事選挙以上の意味を持っていた。 沖縄の進歩と保守が“米軍基地反対”という一つのイシューで総結集し、“オール沖縄”の旗の下で戦った初めての勝負だったからだ。 選挙の核心争点は在日米軍の普天間飛行場を同じ沖縄県内にある名護市辺野古海岸に移転する問題にあった。

翁長雄志(中央)候補が16日に行われた沖縄県知事選挙で勝利した後、那覇市の選挙本部で支持者と共に万歳を叫んでいる。 那覇/AFP連合ニュース

 今回の選挙で翁長候補と対決した仲井眞弘多現知事(75)は、昨年12月沖縄県民の猛烈な反対を押し切って、辺野古移転を前提とした日本政府の辺野古海岸埋立て計画を承認した。 仲井眞現知事が翁長候補を破って3選に成功したなら、70%を超える沖縄県民が反対している普天間飛行場の辺野古移転はもう阻めなくなる。それだけでなく、過去18年にわたって進行された沖縄の市民運動も回復不能な大打撃を受けざるをえなかった。 現場で会った豊見山雅裕沖縄民衆連帯代表(60)は「選挙で勝ったので、翁長候補をよく監視しながら辺野古移転計画を潰さなければならない」と話した。

 支持者たちの歓声の中で翁長候補は「オール沖縄という新しい政治を県民の同意を集めて成功させることができた。 昨年12月、仲井眞知事が埋立て計画を承認したことを県民は許さなかった」と話した。

 16日の沖縄知事選挙は、沖縄県だけでなく韓国、米国、日本、中国など東アジア秩序に相当な波及効果をもたらすものと見られる。

在日米軍基地の75%が集中している沖縄
16日に知事選挙が行われ
普天間基地を辺野古に移転することの是非が最大争点
「基地移転反対」の翁長の当選により
太平洋における米軍再編戦略への支障が不可避に
安倍政権も大きな打撃を受けることになった

 アフガニスタン(2001年)とイラク(2003年)などで無謀な戦争を行った米国のブッシュ政権が、海外に散在している米軍部隊を効率化する計画を明らかにしたのは2002年末だ。韓国では2004年に漢江(ハンガン)の北側の基地を平沢(ピョンテク)などに集中させる連合土地管理計画(LPP)と龍山(ヨンサン)基地移転、沖縄では2006年5月に「再編実施のための米日ロードマップ」(以下、ロードマップ)に具体化された。 計画をよれば、沖縄に駐留中の第3海兵遠征軍(3MEF)司令部など指揮部隊の人員を含む海兵隊8000人とその家族9000人をグアムに移転し、普天間飛行場など在日米軍の5基地を返還する内容だ。

 米国が沖縄の基地の一部を返還する見返りに要求したのは、2014年までに普天間を代替する飛行場として辺野古沿岸を埋立てて、V字型に長さ1800メートルの滑走路2本を備えた基地を提供させることだった。この計画は2012年4月に開かれた米日安保協力委員会(2+2会議)で第3海兵遠征軍司令部などを沖縄に残し、グアム移転の兵力も縮小(海兵隊員と家族を合わせて8000人)という方向で一部修正された。

 沖縄県民の反発は猛烈だった。米軍基地に対する本格的な反対運動が触発された契機は、1995年9月に起きた米軍兵士による少女性暴行事件だった。憤る民心をなだめるため、当時の米日政府は「沖縄に対する米日特別行動委員会」(SACO)を作り、米海兵隊普天間飛行場など11基地を返還するという最終報告書を出す。 普天間飛行場は住民9万人が暮す都市の中心にあり、世界で最も危険な飛行場という悪名が高い。

 それから10年後に出てきた最終結論は、普天間飛行場を外国や日本国内の他地域ではなく沖縄北東部の辺野古海岸を埋立てて破壊した後に移転する計画だった。 沖縄の平和運動家 真喜志好一氏(71)は「アメリカは1960年代から自分たちが計画していた辺野古移転計画を沖縄の人々のためと偽装した。 それも、日本の税金で無料で手に入れようとしている」と話した。 韓国のために龍山基地を平沢に移転すると言って、米国の予算で移転すべき連合土地管理計画上の部隊移転費用まで“防衛費分担金”を活用して韓国に押し付ける米国の姿が重なる。

 16日の沖縄知事選挙の結果は、普天間飛行場の辺野古移転計画を相当期間遅らせるブレーキの役割を果すものと見られる。 勝利した翁長候補が選挙運動期間に「当選すれば知事の権限を最大限に活用して、基地建設を阻止する」と明らかにしたためだ。 彼は仲井眞知事が承認した辺野古埋立て案に対して「取り消しも視野に入れて検討する」という見解を明らかにしたことがある。

 辺野古移転案が相当期間空転すれば、韓国を含む太平洋地域で進められてきた米軍再編戦略も少なからず影響を受けることになる見込みだ。 当初の2008年から2020年頃へと果てしなく延期されている在韓米軍移転計画と、事実上米軍と共同利用する軍港になる済州島の江汀(カンジョン)海軍基地などの事業にも一定部分影響が及ぶものと見られる。

 日本では今回の選挙結果により「安保脅威論」が本格的に頭をもたげる可能性がある。 米日は中国の海洋進出が予想より早く進行しており、2006年にグアムに移転することにした米軍第3海兵遠征軍司令部を再び沖縄に残すことにし、2013年10月の米日安保協力委員会ではP-8対潜哨戒機、高々度無人偵察機グローバルホーク、5世代ステルス戦闘機F-35B(2017年)などを日本に前進配置することを決めた。 安倍政権は今回の選挙結果により米日同盟に亀裂が生じることを避けるため、集団的自衛権など安保政策に一層拍車を加える可能性が強い。

 しかし、反対に普天間基地の辺野古移転が本当に必要なのかという論議を触発する契機になることもありうる。朝日新聞は8日付けで「米国は現在、沖縄、フィリピン、オーストラリア、韓国などに海兵隊を循環配置する“面抑止”構想を現実化させている。 特に(普天間飛行場に配置された米海兵隊輸送機)オスプレイ(MV-22)は、航続距離や速度などがますます向上しているため、必ずしも沖縄に配置しなくとも対応可能だという指摘もある」と報じた。

那覇・辺野古(沖縄)/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/664727.html 韓国語原文入力:2014/11/16 23:09
訳J.S(3130字)

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