結局、沖縄県民が選んだのは‘平和’だった。
19日、米軍基地移転問題を核心争点として行われた沖縄名護市長選挙で、基地移転反対派の稲嶺ススム(68・無所属・共産党など推薦)現市長が賛成派のスエマツ文信(65・無所属・自民党推薦)候補に対し勝利をおさめたと<NHK>放送など日本言論が報道した。 この日夜9時頃、当選確実の便りが伝えられるや稲嶺候補は支持者らと共に万歳を叫んだ。
今回の選挙は1996年日-米間で沖縄県南西部の普天間基地を移転することの合意がなされた後に行われた5回目の名護市長選挙だった。 この選挙に日本中の耳目が集中したのは、先月26日沖縄県が基地移転を前提に名護市辺野古海岸に対する政府の埋立申請を電撃承認したためだ。 その直後に行われる選挙なので、自然に県の決定に対する市民の賛否を問う意味がより増した。
今回の選挙が移転反対派の勝利で終わったことにより、名護市の未来だけでなく米-日関係、一歩進んでアジア・太平洋地域の米軍再配置計画などの地域秩序に少なからぬ影響を及ぼすものと展望される。
米・日両国政府が昨年4月に合意した‘沖縄在日米軍施設・区域に関する統合計画’を見れば、2014年一年間に現地調査・設計を終えた後、2015年から工事を始め2022年に基地移転を終えるという日程が決められている。 しかし、稲嶺市長は工事が始まれば市が持つ10ヶ余りの許可権限を利用して最大限に工事を阻むと話してきたし、住民たちの自発的な工事阻止運動も予想される。 日本政府が市の反対意志に抗して事業を進めるには、政府の指示に従うよう行政命令を下した後にこれにも応じなければ機関間権限争議訴訟を行う必要がある。 この場合、移転計画に支障が避けられない。
事情が急迫しているとし自民党は選挙勝利のために総力を傾けてきた。 当初二分化されていた賛成派候補をスエマツに単一化させたのに続き、16日には自民党の実力者 石破茂幹事長が直接名護市を訪問して、500億円の‘名護振興基金’を追加で作ると明らかにした。 石破幹事長は 「基金は医療施設、学校新設、那覇市と連結される鉄道建設などに使う。安倍政権は名護市の幸福のために全力を尽くす」として支持を訴えた。
しかし名護市民は結局平和を選んだ。 沖縄の面積は日本の1%余りだが、駐日米軍基地の74%が集中している。 その上、沖縄県知事と自民党出身国会議員らが当初の公約を破棄して賛成に転じるや、怒りが天を突く状況だった。 沖縄の大型ホテルチェーンであるかりゆしグループ社長 平良朝敬は 「(沖縄の主産業である)観光は平和産業だ。 米軍キャンプ シュワブには2500人が雇用されているだけだが、その1.3%の面積に過ぎない私たちのホテルでは1400人を雇用している。米国基地移転を(経済)振興策だと言うスエマツは時代錯誤的な人物」と話した。 稲嶺市長も「毎日低空飛行をして騒音を起こし、危険なオスプレイ(頻繁に事故を起こしている米軍の輸送用ヘリコプター)が飛び回っている。 こういうものを未来の子供たちに残すのか」として支持を訴えた。
一方、共産党機関紙である<赤旗>は19日付日曜版で "辺野古が普天間基地の代替施設だと言っているが、前より基地機能がさらに強化される" とし "計画を見れば、辺野古に長さ1800mの滑走路2本以外にも、長崎県佐世保に配置されていた強襲揚陸艦ポノム・リシャールが接岸できる272mの埠頭施設も作られる" と伝えた。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr