本文に移動

日本 鉄道民営化 その後…彼らは安寧でいられなかった

登録:2013-12-24 22:41 修正:2013-12-31 07:27
赤字を理由に26年前に民営化
雇用継承できない6万人余り 退社
JR北海道‘事故鉄’として悪名
大都市で最も重要な路線を握った会社と
地方路線会社 両極化も深刻
去る2011年5月27日、日本の鉄道会社JR北海道の石勝線で列車脱線・火災事故により78人が負傷した。 写真は事故後に会社関係者たちが事故現場を見ている姿だ。 JR北海道ホームページ 画面キャプチャー

 水西(スソ)発KTX分離方案を巡って、政府は‘民営化ではない’と繰り返し発表しているが、最長期に及ぶストライキを行っている鉄道労組は信じていない。 一般世論でも‘民営化として受けとめている’という意見が多い。

 隣国日本は1987年に莫大な累積赤字を理由に‘日本国有鉄道’(国鉄)を6ヶの旅客会社と1ヶの貨物会社に分けた。 国鉄民営化断行以後26年が流れた日本鉄道の現実を探ってみた。 大都市路線を確保した会社と、人口が少ない地域の在来路線を運営する会社の間には両極化現象が深刻化された。 深刻な人員削減と施設老朽化で安全事故も頻発していた。

 "民営化がなされる時1万4000人余りだった(JR北海道の)職員が6800人に減った。 それでも特別列車の運行数は2倍に増えた。 (中略)路線保守作業を外注・下請けに回して経験のない未熟練労働者を現場に送っている。" (<週間新社会>)

 去る9月19日、日本 北海道の函館では大沼駅で貨物列車の脱線事故が発生した。 この事故は当初は負傷者がなく平凡な列車事故と見なされた。 しかし、まもなく日本鉄道史に久しく残るスキャンダルに発展する。 以後に進行された北海道地域の鉄道を運営するJR北海道の管理路線全体に対する調査で、この会社が鉄道数百ヶ所に異常があるという事実を知りながら列車を運行してきたという事実が明らかになったのだ。 その後、日本国土交通省はJR北海道を相手に特別保安監査を始め、菅義偉 官房長官は会社の処置を「悪質」と非難した。 この会社はわずか2年前の2011年5月に78人の負傷者が発生した石勝線脱線・火災事故を起こしもした。 その上、去る12日には現場職員が9月の事故直後に線路の異常を放置したまま運行していた事実を隠すために点検数値を変造した事実までが確認され、この会社に対する社会の信頼が奈落まで墜落した状態だ。 一度の失敗でなく‘安全不感症’が組織全体に根深く刻まれているという事実が明らかになったのだ。

 なぜこうしたことが発生したのだろうか。 日本の進歩陣営が出した解答は、1987年4月に断行された‘鉄道民営化’であった。 日本新社会党の機関紙である<週間新社会>は去る10月、この事件に対して "現場では線路が(本来あるべき位置から) 4㎝近く外れていても、人員と予算の余裕がなく1年も修理できずにいるという声が聞こえる。 民営化以後に極端な採用抑制と人員削減の結果(現場で中間管理者の役割をしなければならない) 40代職員が全体の10%にも達し得ない" と指摘した。 主流言論の分析も同様だった。 <朝日新聞>は10月5日付で鉄道民営化による傷のせいで、本社と現場労働者の間にコミュニケーションの問題があるという事実を指摘し、 "2005年以後100億円台だった設備投資予算が経営悪化で2010年度には58億円に減った。 路線を補修しようにも金がなく、現場で‘補修しなければならない’と言っても‘うるさい野郎’という反応を示すので言えない" という会社内の雰囲気を伝えた。 鉄道民営化の余波が日本の鉄道の安全に致命的な悪影響を及ぼしたということだ。

 韓国のコレイルに該当する日本の‘日本国有鉄道’(国鉄)は1949年公社としてスタートした。 しかし自動車の普及などの余波で1964年から赤字が続いた。 中曽根康弘 政権は1987年4月、国鉄をJR北海道、JR東日本,JR東海、JR西日本,JR四国、JR九州など6ヶの旅客会社と一ヶの貨物会社に分けることを骨格とする民営化を断行した。 当時、中曽根が名分として掲げたことは、37兆1000億円に達した国鉄の累積赤字であった。

 それから26年余りの歳月が流れた今、日本の鉄道は東京・大阪・名古屋など大都市を結ぶ新幹線など最も重要な路線を確保した本州の3社と地域の在来路線を運営するJR北海道などその他3社の両極化が深刻化されている。 2012年、東京を中心とするJR東日本が3228億円、名古屋市などを抱えているJR東海が3991億円の営業利益を記録した。 だが、人口が少なく地域が広いJR北海道は309億円の赤字を記録した。 JR北海道の場合、金がない結果、しばらく新規採用ができず職員の中で50代以上が37.7%だが、現場の責任者として仕事をしなければならない40代は9.5%に過ぎない。 路線1kmあたり職員数を見てもJR北海道が2.72人なのにJR東海はそれより3倍多い9.18人だ。 鉄道民営化の結果 "順調に利益を得ている本州の3社と地方3社の間の格差問題が生じた" と<朝日新聞>は指摘した。

 鉄道民営化が日本社会の他の領域に及ぼした影響も侮れない。 民営化直前の1986年に27万7000人だった国鉄職員の内、民営化された会社に雇用が継承されたのは21万人だけだ。 そのため4万8000人は希望退職をし、2万人は他の民間企業に就職した。 社会党の核心支持基盤である日本労働組合総評議会(総評)の中心である国鉄労組の没落は、自民党と共に第2次大戦以後の‘55年体制’の一軸を受け持ってきた社会党の没落につながった。 国鉄民営化を断行した中曽根は2005年<NHK>に出てきて「国鉄労組が(社会党の核心支持基盤である)総評の中心であったし、民営化の目的はこの国鉄労組を粉砕するためのものだった」と話したことがある。

 ただし、世界各国の公共サービス民営化以後、ほとんど例外なく現れた急激な料金値上げは日本の鉄道民営化では観察されなかった。 日本の国土交通省がホームページに掲示している資料‘鉄道改革に関し’に出てくるとおり、民営化直前には毎年料金が引き上げられたために1980年の料金を100とする時、1986年の料金は138まで暴騰したためだ。 以後、1997年には消費税引き上げを除けば特別な料金値上げはなかった。 日本のバブル経済が消えた1980年代末以後‘失われた20年’の間に進行したデフレーションのためと解説される。 同じ距離を基準として比較すれば、日本の鉄道料金は韓国よりすでに3~4倍高い。

 イ・ヨンチェ日本恵泉女学園大学 国際社会学科教授は「北海道は天候が非常に寒く、鉄道の枕木がすぐに腐るため20年毎に交換しなければならない。 私企業が採算性を維持することが不可能な地域」とし、「国家が絶対に民営化してはならない公共サービスを民営化しておき、その責任を労働者に問うている」と指摘した。 彼は「北海道は韓国の江原道(カンウォンド)やソウル近郊と天候が同等、あるいはさらに寒い。 むやみに民営化すれば韓国でも同様なことが起きかねない。 北海道の経験から韓国社会が教訓を得なければならない」と話した。

東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/616944.html 韓国語原文入力:2013/12/24 21:33
訳J.S(3119字)

関連記事