日本東京、千代田区の九段下駅近くに近代以後に日本が参加した戦争で犠牲となった軍人を英霊として祀る靖国神社がある。 1978年この神社は、2次世界大戦のA級戦犯をひそかに合祀した。 15日朝8時、靖国神社正門に直結する九段下駅1番出口は駅からあふれ出てくる参拝客のために駅の外へ出て行くことだけができるよう統制されていた。 駅を出る前から拡声器による右翼団体会員の扇動的な声が聞こえてくる。 終戦記念日は日本の右翼団体には‘かきいれ時’だ。
出口を出ると神社に上がる道のあちこちに人々が陣を敷き宣伝用の印刷物を配っている。 ある人は幸福実現党という名前を掲げて‘河野談話・村山談話 白紙撤回’を要求する印刷物を配り、またある人は‘慰安婦強制連行をねつ造した朝日新聞社関係者の国会証人召還を要求するデモを25日に行なう’という内容の案内文を配っていた。 一方では‘新しい歴史教科書をつくる会’という団体が「正しい歴史教科書を使わせなければならない」として通行人から署名を集めている。 神社正門のすぐ左側の歩道上では‘日本は侵略・犯罪国家ではない’と書いた横断幕の前で一人の若者が日章旗を掲げ青い旧軍服を着て拡声器で演説している。 この若者は昨年も同じ姿でその場にいた。
韓国からきた野党議員たちが靖国神社を訪ね、糾弾記者会見を行うという便りはすでに広く知られていた。 日本の右翼団体の青年数人が 「韓国言論は帰れ」として、騒動を起こし始めた。 群れをなして立っていた彼らは警備に乗り出した警察官に 「帰れ、帰れ」と叫んだ。 右翼団体の街宣車がけばけばしいスローガンを貼り、サイレンを鳴らしたり拡声器で宣伝放送をしながら神社周辺を走り回った。
安倍 "参拝できず謝罪" …‘反省’言及なき追悼辞
内閣から総務相・国務大臣 参拝
議員90人来て…昨年の2倍規模
韓国の民主党議員3人・イ・ヨンドク最高委員
靖国会見 日本警察が阻み500m外でプラカードを持ち示威
午前8時12分頃、新藤義孝 総務相が神社を参拝した。 2次安倍内閣の閣僚としては初めてだった。 彼は「個人資格の参拝」と記者たちに話した。 8時36分、古屋圭司 国家公安委員長も神社に参拝した。 彼は‘国務大臣 古屋圭司’と訪問録に書いた。 彼は「戦没者をどのように慰霊するかは純粋な国内問題であり、他国の批判や干渉を受けることではない」と話した。 高市早苗 自民党政調会長など‘みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会’所属国会議員90人もこの日午前に参拝した。 昨年は55人が参拝した。 今年は倍近くに増えたわけだ。
前日韓国から飛んできたイ・ジョンゴル議員など(韓国)民主党の議員3人とイ・ヨンドク最高委員は、この日朝8時に靖国神社に到着し記者会見を行う計画だったが、‘安全’を憂慮した日本警察に遮られた。 彼らは神社から500mほど離れたところまできて警察に遮られ、プラカードと横断幕を持ってデモを行った。 イ・ジョンゴル議員とイ・ヨンドク最高委員が即席で街頭演説を始めると、警察は間もなく二人を強制的に車に乗せてホテルに送りかえした。 ムン・ビョンホ議員とイ・サンミン議員は横断幕を持って立っていて、記者たちの問答に応じた後ホテルに戻った。 靖国神社前の道路の両側には右翼団体の街宣車数十台がけばけばしい旗を付け列をなして停まっていた。
午前10時、神社そばの空地から白い鳩25組が空に向かって放たれた。 周辺に集まった参拝客が主催側の掛け声に倣って一斉に "ありがとうございます" と叫んだ。 昔の軍服を着た人が時々目についた。 観光バスから降りてくる人も少なくなかった。 参拝客たちは敬けんな表情だ。 参拝客はますます増えて、11時頃になると神社前には長い列が出来た。 旧軍服を着て群がって参拝する人々の手には‘天皇陛下万歳’ ‘大東亜戦争は侵略戦争ではない’等の字句を書いた旗が持たれている。
昼12時のサイレンが鳴って公式追悼式が始まった。 人々は1分間黙祷した。 付近の武道館で開かれている全国戦没者追悼式で明仁日王が演説した‘お言葉’が靖国神社境内にも拡声器から流れた。
"歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。"
戦争を繰り返してはいけないという日王の話が終わるや、靖国神社に用意された追悼式(第27回 戦没者追悼中央国民集会)舞台では代表的な右翼団体である日本会議が‘英霊にこたえる会’と共同で声明を発表した。
"総理の靖國神社参拝を重ねて要望し、英霊がひとしく望まれる祖国再建・憲法改正の実現という戦後体制克服のための国民運動を力強く展開することをあらためて誓う。"
安倍晋三総理はこの日、戦没者追悼式追悼辞で村山富市総理以後の歴代総理が‘村山談話’を継承するという意味で常に言及してきた‘周辺国家に加えた苦痛に対する反省’を全く話さなかった。 再び戦争をしないという確約も抜いた。 "歴史に謙虚で学ばなければならない教訓は深く胸に刻む" という言葉だけだった。 村山元総理は<共同通信>とのインタビューで「安倍総理が外国に対する反省を(演説に)入れるべきであった」と批判した。
安倍総理はこの日、靖国神社に直接参拝はしなかったが、萩生田光一 自民党総裁特別補佐を代わりに送り、玉串料を出し、"今日参拝できないことについて代わりに謝ってほしい" と頼んだ。 "1次内閣の総理として在任する時に靖国神社に参拝できなかったことが痛恨の極み" と話した彼が、10月の靖国神社秋期大祭時には参拝を敢行するという展望が広がっている。
東京/チョン・ナムグ特派員 jeje@hani.co.kr