米国に続き、欧州連合(EU)とカナダも鉄鋼の輸入障壁を高めるなど、鉄鋼が保護貿易主義の主要ターゲットになっている。韓国政府は相次いで相手側に接触し被害の縮小に奔走している。
ヨ・ハング通商交渉本部長は2日、ベルギーのブリュッセルでマロシュ・シェフチョビッチ欧州連合通商・経済安保執行委員に会い、鉄鋼輸入規制計画に対する意見を伝えるなど通商協力について話し合ったと、産業通商部が3日に明らかにした。産業部は「世界的な供給過剰、保護貿易主義の拡散、カーボンニュートラル(炭素中立)履行など国際通商秩序の転換がなされる状況」で両者が緊密に疎通することにしたと明らかにした。
産業部は、訪韓したフランスの経済省関係者が参加した「第20回韓・仏産業協力委員会」会議でも、パク・ジョンソン通商次官補がEUの鉄鋼輸入規制強化に対する「憂慮を伝えた」と明らかにした。パク次官補はこれに先立って1日にはカナダの産業省のアレクサンドラ・ドスタル上級次官補に会い、鉄鋼輸入規制の強化に「強い遺憾」を示し「早急な撤回を要求」したという。
政府がこのような立場を伝えたのは、相手が鉄鋼製品の低率関税割当(TRQ)物量を縮小するなど、輸入障壁を高めているためだ。EUは先月、昨年3053万トンだった無関税割当量を来年6月以降は47%減らし、割当外の物量の関税は25%から50%に引き上げると発表した。カナダも最近、韓国のような自由貿易協定(FTA)の相手国に、2024年の輸入量基準で無関税を適用する物量の割合を100%から75%に下げ、鉄鋼派生製品には25%の関税を課す計画だと明らかにした。
米国が鉄鋼とその派生製品に50%の品目別関税を課すことに対応し、各国がそれぞれ鉄鋼産業を保護しようとする措置であり、韓国の鉄鋼業界には圧迫が加重されている。韓国貿易協会の集計によると、EUは昨年、韓国製鉄鋼の輸入額が約44億8千万ドルで、米国(約43億5千万ドル)を上回り、2年連続1位を記録した。ところが、供給過剰まで重なり今年1~10月の韓国製鉄鋼のEU向け輸出額は昨年同期に比べて16.9%減った。米向けの輸出額は17.8%減少した。カナダの韓国製鉄鋼の輸入額は昨年は18.1%増え、約7億8千万ドルを記録したが、今年1~10月の輸入額は7.4%縮小した。
産業部の関係者は「EUまでが輸入障壁を高めれば、(韓国の)鉄鋼業界の状況はより一層深刻になる」として、積極的対応が必要だと話した。