自動車が半導体の不振を埋め合わせ、韓国の「輸出の牽引役」として浮上している。先月の自動車輸出額は月間基準で過去最高の65億ドルを記録した。これは電気自動車(EV)などエコカーを中心に、国内完成車メーカーの競争力が世界市場である程度認められているためだ。 ただ、このような傾向が今後も続くかどうかは未知数だ。輸出比重が大きくなっているEV市場がまさに激変期を迎えているからだ。
産業通商資源部が17日発表した「3月の自動車産業動向」によると、先月の自動車生産台数は40万9806台で、前年同期に比べて35.6%増加した。国内の完成車の月間生産量が40万台を上回ったのは、2017年3月以来6年ぶり。生産の増加は何よりも輸出特需に支えられたところが大きい。先月の自動車輸出は26万2341台で、昨年同期に比べて48.0%増加した。金額(65億1800万ドル)は同期間64.1%増えた。輸出台数基準では2016年12月(29万8千台)以来、金額基準では1カ月ぶりに再び過去最高となった。
産業通商資源部は「輸出単価の高いEVなどエコカーの輸出が初めて7万台を超え、輸出好調の中心となった」と述べた。自動車輸出全体のうち、EVなどエコカー(乗用車基準)の割合は、2022年の23.9%から27.3%(2023年3月)に増加した。エコカーの輸出は対昨年同期比79.5%増の7万1781台、輸出額は2倍近く増えた22億7千万ドル。現代自動車・起亜自動車の資料によると、今年1~3月に両社が世界市場で販売したEVは計13万5499台で、昨年同期より76.4%増えた。特に、内需を除いた海外販売台数は10万4517台で、昨年同期より93.4%増加した。
このような成長速度が今後も続くかは不透明だ。EVなどエコカー市場の競争が一層激化する兆しを見せているからだ。最近、米国のEVメーカーのテスラが欧州とシンガポールなどで販売されるモデルの価格を5~10%引き下げるという海外メディアの報道が相次いだ。世界2位のEVメーカーが、価格を下げて市場シェアを引き上げる攻撃的な戦略に乗り出しているという意味だ。ドイツのフォルクスワーゲンも今年2万5000ドル(約340万円)以下のEVを発売するという目標を明らかにした。EV市場が「安い大衆車」に再編される過程で、メーカー間の競争が激しくなる様子だ。最大の自動車市場の一つである米国が現地生産車両に補助金を与える政策を施行し、消費者がどのような判断をするかも売れ行きに大きく影響するものとみられる。
世界市場への進出に拍車をかけている中国製EVメーカーも注目すべき対象だ。中国最大のEVメーカーの比亜迪(BYD)は昨年9月、タイに初の海外生産基地を建てる計画を明らかにした。昨年、中国は68万台のEVを輸出した。
産業研究院のチョ・チョル先任研究委員は「これまで中国は開発途上国を中心に輸出し、韓国車とは競争しなかったが、最近はEVを前面に出して欧州市場にかなり進出している。直接競争が韓国の自動車にとっては脅威になっている状況」と述べた。また「米国市場はまだEVの割合が低く、拡大する可能性が高いため、EVの輸出競争で韓国の自動車が現在の地位を奪われないことが重要だ」と述べた。
韓国自動車研究院のイ・ソヒョン先任研究委員は「欧米の今後のEV関連政策の変化も注意深く見守る必要がある。これと共に(EV技術が次第に成熟期に入っているだけに)コストの削減やサプライチェーンの管理など、伝統的な競争力も再び注目されるだろう」と述べた。