現代自動車・起亜自動車が今年第1四半期に韓国内最高の業績を出す見通しだ。「半導体不況ショック」で利益が大幅に減ったサムスン電子を抜いて、上場企業の四半期営業利益1位に上がるとみられる。
9日、金融情報会社のFnガイド(FnGuide)が集計した証券会社の平均見通しによれば、現代自動車の今年第1四半期(1~3月)の実績見通しは売上35兆4936億ウォン(約3.55兆円)、営業利益2兆6638億ウォン(約2680億円)と集計された。昨年第1四半期に比べて、売上は17.2%、営業利益は38.1%増えるだろうという予測だ。起亜自動車の業績予想値も高い。起亜自動車の第1四半期の業績見通しは、売上22兆3561億ウォン(約2.4兆円)、営業利益2兆1655億ウォン(約2200億円)で、昨年第1四半期に比べてそれぞれ21.8%、34.8%増加した。
現代自動車の業績が期待される理由は、高価な車を中心に国外での販売台数が増加したためだ。現代自動車証券のチャン・ムンス研究員は「ウォン安ドル高と共に、米国を中心に輸出にシフトし収益性を極大化する戦略が作動した」と分析した。ドルの為替レートが上がれば、現代自動車は米国市場の消費者により安い価格で自動車を販売できる。現代自動車グループは今年第1四半期、米国市場で38万2354台を販売し、第1四半期では過去最多販売実績を記録している。現代自動車は19万8218台、起亜自動車は18万4136台を販売したが、これは昨年同期に比べて販売台数がそれぞれ15.6%、21.8%増えたものだ。
ウォン安ドル高の効果で輸出しやすい環境が続く中、高級ブランドであるジェネシスやスポーツ実用車(SUV)のような高付加価値車の販売台数が増えたのも、輸出実績が上がった理由に挙げられる。韓国の完成車業界の自動車輸出単価は史上最高値をつけた。韓国自動車産業協会(KAMA)が発表した統計を総合すると、昨年の韓国の完成車メーカー7社の自動車1台当たりの輸出価格は2万1276ドルで過去最高水準となった。
これを受けて、現代自動車は2009年の国際会計基準(IFRS)導入以来初めてサムスン電子を抜き、韓国の上場企業の四半期営業利益1位に上がると見られる。サムスン電子は「半導体不況」の余波で今年第1四半期に63兆ウォン(約6.3兆円)の売上、6千億ウォン(約600億円)の営業利益を出したが、これは昨年同期に比べて売上は19.0%、営業利益は95.8%減ったものだ。サムスンは7日、半導体の減産(生産量下方修正)を公式化した。
通常、第1四半期は自動車販売のオフシーズンに分類される点などを考慮した場合、証券業界では現代自動車と起亜自動車を合わせて今年の年間営業利益は20兆ウォン(約2兆円)を達成できるとの見通しも出ている。韓国投資証券のキム・ジヌ研究員は、「2019年に初めて売上高100兆ウォンを突破して以来、4年後の2023年に売上高150兆ウォン突破が確実視されている。収益性は2023年を基点に下落するが、その傾きが予想よりは緩やかに展開される中で、価格上昇にともなう売上の増加で利益成長が持続できる」と明らかにした。ただし、米国のインフレ抑制法(IRA)の施行で、北米市場で現代自動車が生産した電気自動車(EV)に補助金の恩恵がつかないことが販売実績の不安要素として挙げられる。