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世界の証券市場、新変異株への恐怖で霧の中

登録:2021-11-29 05:51 修正:2021-11-29 09:54
従来のワクチンの効果や致命率など、正体不明 
封鎖が拡大すれば、市場変動性も増大する見込み 
新ワクチンの開発で早期回復するとの見通しも
今月26日(現地時間)、ニューヨーク株式市場は南アフリカ共和国で急速に増加している新変異株「オミクロン」の出現に対する懸念で大きく下落した。米ニューヨーク証券取引所の入会場で、トレーダーが掲示板を見ている=ニューヨーク/ロイター通信・聯合ニュース

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」に対する恐怖で、世界金融市場は不確実性に包まれている。パンデミックの再燃で市場へのショックが長期化するのか、短い急落後に早い反騰につながるのか、今のところは見通しがつかない状態だ。

 米株式市場は26日、恐慌に近い投売りが行われた。ダウ指数は905.04(2.53%)下落し、13カ月ぶりの最大の下げ幅を記録した。フランスやドイツなど、欧州の主な証券市場は4%以上暴落した。高騰を続けていた国際原油価格は、移動制限への懸念で一気に値下がりした。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)価格は、1年7カ月ぶりに最大の13.06%暴落し、1バレル=70ドルを割り込んだ。一方、安全資産通貨とされる日本円やスイス・フランの価値は高騰した。マイナス金利のこれらの通貨を借りて、株式など危険資産に投資してきた資金が一気に流出した影響とみられる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルとマーケット・ウォッチなど、外国メディアの報道を総合すると、米国ウォール街の専門家らは、新変異株が市場にどの程度影響を及ぼすのかを速断するのは難しいと述べているという。今のところ、オミクロン株の実行再生産数や致命率、従来のワクチンの免疫効果などほとんど知られていないからだ。もちろん各国が入国制限に乗り出している点は経済に否定的な影響を及ぼすものとみられる。封鎖が拡大すれば、サプライチェーンの悪化により、物価上昇の圧力はさらに激しくなりかねない。これを受け、景気が冷え込んだ場合、昨年の新型コロナ事態の初期同様、市場の変動性が拡大する可能性があるとして、懸念の声もあがっている。

 一方、今回は違うという意見も少なくない。昨年3月には、予期せぬコロナの奇襲を受けて世界経済の封鎖は避けられなかったが、今は大流行を経験し、政府や企業、消費者共に対処できる環境が整っているという。ドイツ銀行は「新型コロナワクチンが新変異株にどれだけ効能を持つかが金融市場の行方を左右する」とし「今、株を売るのが適切なのかはまだ不明だ」と指摘した。シティバンクは「新変異株に対するワクチン供給が急速に行われるだろう」と楽観的な見通しを示した。

 29日、韓国総合株価指数(KOSPI)はひとまず下落から始まると予想される。これに先立って、韓国取引所と連携した欧州取引所(ユーレックス)のKOSPI200先物価格が1.9%下がったためだ。ただし、韓国などアジア証券市場も26日午後から、オミクロン株という悪材料を一部消化して下落したため、さらなる衝撃は限られたものになるだろうという見通しもある。ドル安に転じたのも、韓国国内証券市場にとっては悪くない変化だ。米中央銀行(連準)が新変異株の影響で緊縮のスピードを緩めるという期待が広がった影響と分析される。実際、連邦基金(FF)金利先物市場に現れた来年6月の金利引き上げの可能性は、82%から54%へと大幅に下がった。未来アセット証券のソ・サンヨン研究員は「まだ世界各国の工場封鎖措置などが取られていないため、変動性の拡大は短期にとどまるだろう」としながらも、「もし東南アジアと中国に変異株が拡散すれば、市場が最悪の事態に直面する可能性もある」と指摘した。

ハン・グァンドク先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1021094.html韓国語原文入力:2021-11-29 02:33
訳H.J

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