本文に移動

韓日外交の「行き詰まり」と高市政権の登場【コラム】

登録:2025-10-24 07:02 修正:2025-10-25 07:17
日本の高市早苗首相が22日、東京の首相官邸で記者団の質問に答えている/AFP・聯合ニュース

 戦後80年間、韓国と日本の両国がそれぞれ推進してきた米国との関係を基軸とする外交安保政策は、「米国を再び偉大に」をスローガンに掲げたドナルド・トランプ政権の登場によって、事実上破綻に至った。両国とも米国という絶対的な覇権国と同盟を結ぶことで安全を保証され、また、この国が提供する自由貿易秩序のもとで、現在の驚くべき繁栄を成し遂げた。この過程で両国の国民が流した血と汗を軽視するつもりはないが、基本的には、この戦略が「温室の中の草花」のごとき蜜を吸う場所だったことを否定することは容易ではない。

 3年後にトランプ大統領が退任すれば、米国は再び以前のような「慈愛深い覇権国」の姿を取り戻すことができるのだろうか。最近の米国内でのさまざまな凄惨な現実をみると、トランプ現象は米国の破滅の「原因」ではなく「結果」だという結論に至ることになる。結局、韓国と日本は、戦後初めて米国という温室から抜け出し、自立を模索せざるを得ない切迫した状況に直面することになったというのが、昨今の現実をながめての個人的な結論だ。

 「米国の没落」とともに両国の戦略的苦境を最も象徴的に示す動きは、北朝鮮が何の支障もなく核を手にした状態で、長年の孤立から徐々に抜け出しつつあるという厳然たる現実だ。自信を回復した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は9月21日の最高人民会議での演説で、核武装は「わが国家の生存か死滅かという岐路で取った必須不可欠の選択」だったとして、「『非核化』ということは絶対に、絶対にあり得ない」と宣言した。

 過去20年ほどの間、韓国の進歩政権のいわゆる「太陽政策」に対して、日本の保守派は常に疑いのまなざしを向けていたが、このアプローチに隠された本質が大韓民国の憲法秩序を中心とする吸収統一であったことを否定できる韓国人は実はいない。そのような意味で、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領について「実に利口で、狡猾な人」だったと評した朝鮮労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長の昨年1月2日談話は、歴代の韓国進歩政権が推進してきた対北朝鮮政策の意味を正確に見抜いたものだった。このような冷静な戦略的熟慮のうえで飛び出してきたのが、いわゆる「敵対的な二国家論」である以上、李在明(イ・ジェミョン)政権がいくら真剣に努力したとしても、北朝鮮を動かすことは容易ではないものと思われる。

 日本の事情はさらに憂鬱だ。朝日新聞の船橋洋一元主筆が昨年10月に出した著書『宿命の子』(安倍晋三元首相を指す言葉)に非常に興味深い対話が登場する。2022年1月11日に就任3カ月目を迎えた岸田文雄首相(当時)は、安倍元首相を東京の日本料理屋「和田倉」に招いた。対北朝鮮政策や拉致問題などについての助言を聞くためだった。

 いくつかの禅問答をした後、安倍元首相は、結局のところ、金正恩体制の崩壊なしには拉致問題の解決(さらには北朝鮮と日本の関係正常化)は不可能だという「ホンネ」を明かしてしまう。「完全解決というものがあるとするならば、今の金王朝が終わって、どういうレジーム(体制)が生まれようとも、それが中国の影響力の強い傀儡(かいらい)政権になるとしても、そういう形にならない限りは難しいんじゃないかな」。結局は金政権が生き残った以上、核・ミサイル・拉致という3大問題が解決されない限り国交正常化はないという安倍式の対北朝鮮政策は、みじめな失敗に終わったという結論を下さざるを得ない。

 そして、中国に目を向けると、答は事実上ない。日本には「台湾有事は日本有事」という勇ましいことを言う政治家がいるが、このすべての「うわべの言葉」は、米国が西太平洋の覇権を維持するために台湾有事に積極的に介入する場合に通用する話だ。トランプ大統領がほのめかしているように、米国が台湾有事から手を引くことになれば、韓国と日本が独自にできることはそれほど多くない。

 この10年ほどの間、日本の保守主流派の間では、真の韓国と日本の協力のためには「歴史を直視しなければならない」と主張する韓国を蔑視する流れが続いてきた。それでも互いに手を握ったのは、韓米日3国協力の枠組みが必要だという「道具的な必要性」のためだった。「極右」高市早苗首相も同様に21日の就任記者会見で、韓国は「重要な隣国」であり「国際社会の様々な課題に対応するためにも必要な『パートナー』」だと述べた。続けて、韓国のり(!)・コスメ・ドラマに言及して「未来指向」を口にしたが、予想通り「歴史を直視する」という話はしなかった。まもなく訪れる「米国なき国際秩序」のもとで両国はより緊密に協力する必要があるにもかかわらず、そこで取り上げた話が韓国のりだというのは…。もどかしさにため息ばかりが出る。

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1225074.html韓国語原文入力:2025-10-23 18:48
訳M.S

関連記事