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韓銀、過熱した家計債務・住宅価格など長引く悪影響の食い止めに着手

登録:2021-08-27 07:09 修正:2021-08-27 10:36
家計債務、住宅価格急騰問題の解消には効果限られる 
韓銀、持続的な引き上げシグナルで心理変化を期待
イ・ジュヨル韓国銀行総裁が今月26日午前、ソウル中区の韓国銀行で開かれた金融通貨委員会会議で、基準金利引き上げの議決を告げている=韓国銀行提供//ハンギョレ新聞社

 「低金利は経済活動の萎縮を防いだ。しかし今は金融不均衡の解消に力点を置くべきだ」

 韓国銀行(韓銀)が26日、「史上最低金利時代」の終わりを告げた。基準金利を0.25ポイント引き上げると共に、今後の追加の引き上げも予告した。コロナ禍への対応として昨年5月に史上最低水準の0.5%まで下げた金利が、景気を回復水準まで引き上げたという判断によるものだ。正常軌道に戻った景気が、繰り返される新型コロナウイルスの感染拡大の中でも持ちこたえられると、韓銀は見ている。これを踏まえ、韓銀は低金利によって生じた影響を収拾すると宣言した。低い金利をテコにしてリスクのある収益を追求する心理をこれ以上座視しないという警告だ。

コロナ禍の中でも金利引き上げに踏み切ったわけは

 韓銀のこの日の金利引き上げの根拠は、大きくわけで3つだ。新型コロナのさらなる感染拡大にもかかわらず堅調な景気回復傾向、物価上昇の圧力、金融不均衡の累積だ。このうち、韓銀が金利引き上げ決定において最優先課題として考慮したのは、金融安定だ。これまで韓銀の金融通貨委員会は、金融安定と実体経済のうち何を優先すべきかを重要な議題として取り上げてきた。現在、景気と物価は昨年より上昇局面にあるのは確かだが、金利を引き上げるほど過熱水準ではないからだ。また、先月からは予想できなかった新型コロナの第4波も発生した。

 韓銀は悩んだ末、「金融安定」に重点を置いた。イ総裁は「金利を引き下げ、経済主体の借り入れ費用の負担を減らし、経済活動の萎縮を防いだが、異例の緩和条件が1年半続いたため悪影響が現れている」とし、「これからは景気改善に合わせて金利政策を正常化しなければならない」と強調した。

 韓銀が決断を下した背景には、実体経済への自信もある。景気が金利引き上げの衝撃に耐えられる水準までは回復したという判断だ。韓銀は、新型コロナの第4波を懸念したが、予想より消費心理の衝撃は少ないとみている。先月のクレジットカード承認額は14兆517億ウォン(1兆3200億円)で、前年比7%増加し、内需回復傾向が続いた。各経済主体の学習効果や輸出の好調、ワクチン接種の拡大、補正予算の編成などが合わされば、今年の目標である4%成長は達成できると見込んでいる。

イ・ジュヨル総裁=韓国銀行提供//ハンギョレ新聞社

家計債務、資産市場の過熱を抑えられるか

 韓銀の決断にもかかわらず、市場では金利引き上げで家計債務と不動産価格の上昇傾向がすぐには鎮まらないという見通しが優勢だ。家計債務の急増や住宅価格の暴騰には、低金利の他にもさまざまな原因があるからだ。

 韓銀も金利引き上げ効果の限界を認めている。イ総裁は「金融不均衡というのは今回の措置一つで解消されることではなく、住宅価格は低金利の他にも様々な要因が複合的に作用した結果だ」と述べた。

 韓銀が期待するのは経済主体の心理の変化だ。金利が着実に上がり得るという認識が生まれれば、借り入れによる過度な収益追求行為に歯止めがかかるかもしれないということだ。そうなれば、ほかの金融や不動産規制などもきちんと効果を発揮できると韓銀はみている。

 イ総裁は「貸出金利が上がっても経済主体の資産価格上昇に対する期待が依然として高く、住宅の需給状況に対する懸念があれば貸出借入需要に影響を及ぼす」とし、「金利一つですべてを左右するわけではないが、金利効果はそうした借入需要を制約するのには確かに効果がある」と強調した。

 韓銀は借入心理を抑えるため、追加の金利引き上げにまい進する見通しだ。コロナ禍以前の水準(1.25%)まで金利を正常化するとすれば、今後2回はさらに引き上げる可能性がある。

チョン・スルギ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1009288.html韓国語原文入力:2021-08-2702:40

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