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韓銀、政策金利を0.5%から0.75%に引き上げ…「最低金利時代」終わる

登録:2021-08-27 06:22 修正:2023-02-24 09:52
韓国銀行、家計債務や資産市場の過熱対策に乗り出す 
新型コロナの第4波にもかかわらず、経済回復が続くと予想 
まだ絶対的水準が低く、追加の引き上げに注目集まる
イ・ジュヨル韓国銀行総裁=韓国銀行提供//ハンギョレ新聞社

 「0.5%」の史上最低金利時代が幕を閉じた。

 韓国銀行は26日、金融通貨委員会を開き、現在の0.5%の政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めた。新型コロナウイルス感染症に対応するため、昨年5月に史上最低水準へと政策金利を引き下げて以来、1年3カ月ぶりの引き上げだ。

 韓銀は今回、新型コロナの第4波にもかかわらず、金利引き上げに踏み切った。今年6月末基準で1805兆9千億ウォン(約170億円)まで膨らんだ家計債務や資産価格の急騰をこれ以上放置できないと判断したためだ。韓銀は今回の金利引き上げの最優先課題として「金融安定」を挙げた。

 韓銀が、新型コロナのさらなる感染拡大にもかかわらず実体経済が金利引き上げに耐えられると判断したのも、今回の決定の根拠となった。感染症の長期化による経済主体の学習効果やワクチン接種の拡大、オンライン消費の拡散などで、第1~3波より成長経路が大きく損なわれていないと判断したのだ。先月のクレジットカード承認額は14兆517億ウォン(約1億3200千万円)で、前年に比べて7%増加し、内需回復傾向が続いている。輸出の好調と補正予算の効果まで合わせると、コロナ禍でも堅調な回復傾向が続き、今年4%台の成長を見込んでいる。このような側面から、韓銀は新型コロナの第4波以前に予測した今年の4%の経済成長率の予測値をそのまま維持した。

 韓銀の金利引き上げには、物価上昇に対する先制的な対応の必要性も影響した。一般人の物価に対する見通しの「期待インフレ率」は2月以降7カ月連続で2%台を上回っている。一時的な供給問題から発生する物価上昇の勢いは下半期には衰えると見られるが、需要側の上昇圧力が引き続き高まれば、インフレへの懸念が浮上しかねない。韓銀は、今年の成長率見通しは維持しながらも、物価上昇率見通しは1.8%から2.1%に上方修正した。同時に韓銀は米連邦準備制度(FRB)の年内のテーパリング(資産買い入れ縮小)の動きも考慮したとみられる。

 韓銀が「金融不均衡」と「コロナ禍の不確実性」のうち、資産市場バブルへの対応を優先課題として選択する決断を下したことで、まだ新型コロナによる被害を克服できていない自営業者など脆弱階層の困難は深まる見通しだ。韓銀は政府に財政・金融政策の集中支援を要請するものと予想される。

 経済主体の家計債務の負担も大きくなる。今年6月末、預金銀行の残高基準変動金利融資の割合は72.7%で、非銀行の割合も同様だと仮定すれば0.25%ポイント引き上げで、家計融資(1705兆ウォン)の利子負担は約3兆1千億ウォン(約2900億円)増加する。

 韓銀の追加の金利引き上げの動きが重要だ。今回は史上最低金利から小幅な引き上げが行われたため、金利の絶対的水準は0.75%で、新型コロナ以前(1.25%)に比べると依然として低い。したがって、一度の金利引き上げが家計債務や資産市場に与える効果は期待より弱いかも知れない。市場は今後、韓銀がどのようなスピードでさらに金利を引き上げていくかに注目するものとみられる。金利引き上げがどれだけ累積するかがカギとなる。韓銀はこれまで、金利水準があまりにも低く、今後1、2回引き上げても緩和的基調を維持するという立場を示してきた。

 韓銀が今年5月に国会に提出した資料によると、家計融資金利が1%上がる場合、利子負担は約11兆8千億ウォン(約1兆1千億円)増加する。

チョン・スルギ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1009181.html韓国語原文入力:2021-08-27 02:39
訳H.J

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