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目前に迫った「コロナ第4波」…韓国、経済正常化のシナリオに打撃か

登録:2021-07-08 10:49 修正:2021-07-08 12:17
新型コロナウイルス感染症の新規感染者が1212人を記録した7日午後、猛暑の中ソウル江南区の保健所に設置された選別検査所で、医療スタッフが大挙して来訪する検査待機者を案内している/聯合ニュース

 新型コロナウイルス拡散の「第4波」が本格的にやって来れば、韓国政府と中央銀行の経済政策の正常化計画にも支障が出るものとみられる。最近になって韓国経済が強い回復傾向を示していることを受け、政府は4%台の成長を予想する一方、韓国銀行も基準金利引き上げのシグナルを相次いで市場に示してきた。しかし、首都圏でのコロナ再拡散という突発的な変数が、このような政策基調に混乱をもたらす可能性が高くなった。

 政府はここ1、2カ月で、今年の経済成長率の展望値を3%台から4%台へと大幅に上方修正してきた。コロナ危機の沈静化と経済回復に対する自信を表した行動だ。韓銀も今年5月に発表した経済見通しで、ワクチンとコロナの影響によって今年の成長率は3.4%から4.8%に変わる可能性があると分析した。下半期に入ってワクチン接種が大きく広まり、コロナ感染の拡散傾向が徐々に鎮まれば4.0%成長が可能だが、回復スピードがさらに早ければ4.8%の成長も期待できるという話だった。一方、新型コロナの沈静化が遅れれば、成長率が3.4%まで低下すると韓銀は見通した。

 期待とは違い、新型コロナの再拡散傾向が明確になった場合、4%台の成長を前提に描かれた政府と韓銀の経済政策正常化シナリオも変更される可能性が高い。まずは、災害支援金や共生消費支援金、消費クーポンなどの、政府が構想した内需活性化政策は、防疫対策と正面から衝突する可能性がある。さらに大きな問題は、通貨政策の正常化計画が大きな枠組みで揺れ動くという点だ。韓銀は5月末以来、史上最低の現在の0.5%の基準金利を引き上げるという空気を積極的に造成してきた。特に、市場の反応が韓銀の期待に及ばなかったため、ここ1カ月は市場に対する発言の水位を著しく高めていた状態だった。イ・ジュヨル韓銀総裁が今年5月27日に「通貨政策の正常化」発言を行い、6月10日にはパク・ジョンソク副総裁補が「1、2回金利を引き上げても緩和」としてさらに強いシグナルを送った。その後、イ総裁は6月24日に金利引き上げの時期を「年内」とはっきり示してもいる。

 これを受け、イ総裁の5月の発言でも「来年の金利引き上げ」を疑っていた市場は、今年「10~11月引き上げ→7~8月引き上げ」と、引き上げ予想時期を繰り上げている。国庫債3年物の金利(終値基準)は5月28日までは年1.162%だったが、7月6日には年1.465%にまで上昇し、年内の金利引き上げを既定事実として受け入れ、反映させている。

 これだけではない。韓銀は金利引き上げの名分も整えつつある。資産市場の過熱に対応すればするほどに景気が反騰し、物価上昇率も2%前後を記録するという予想からだ。いまや金融不均衡をまず考えるべきだというタカ派(緊縮政策を支持)の金融通貨委員会委員の数が増えている。

 しかし、新型コロナの再拡散で実体経済の回復傾向が弱まれば、金利引き上げの雰囲気は自然に弱まる。ようやく緊張感を持つようになった市場も、しばらくは混乱に陥る可能性が高い。メリッツ証券のユン・ヨサム研究員は「イ・ジュヨル韓銀総裁の5月の発言には市場は反応しなかったが、6月の年内の金利引き上げ発言がかなり強く出ると、7月の金融通貨委員会から少数意見の委員が1、2人出るのを準備している」とし「すでに強いシグナルが送られた状況で金利引き上げが遅延した場合、市場とのコミュニケーションに問題が生じるだろう」と述べた。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1002646.html韓国語原文入力:2021-07-08 09:48
訳C.M

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